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退職したらもらえるお金一覧!自己都合・会社都合の理由別に解説

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退職したらもらえるお金一覧!自己都合・会社都合の理由別に解説

退職したらもらえるお金一覧!自己都合・会社都合の理由別に解説

2026/08/03

退職したらもらえるお金は失業保険だけではなく、条件を満たせば全部で21の制度が対象になります。

 

ただし、21すべてを誰もが受け取れるわけではありません。対象になるかどうかは、雇用保険に入っていたか、自分の意思で辞めたか、退職したときに何歳だったか、すぐ働ける状態かの4点で決まります。さらに制度ごとに申請期限があり、1日過ぎただけで受け取れる額がゼロになるものもあります。

 

「自己都合で辞めたから失業保険はもらえない」と諦める人がいますが、これは誤解です。自己都合退職でも失業保険は受け取れます。待期7日に加えて原則1か月の給付制限がかかるだけで、権利そのものが消えるわけではありません。

 

この記事では、4つの質問で自分の対象を絞り込む方法、21制度それぞれの金額と申請先、そして同時に受け取れる組み合わせを整理します。

 

読み終えるころには、自分が申請すべき制度が2〜3個に決まり、離職票が届いたその日から動ける状態になります。

 

退職したらもらえるお金は全部で21種類ある

 

失業保険しか申請していない人は、受け取れたはずのお金を平均2〜3制度分は取りこぼしています。まず全体像を押さえてください。

 

制度名 雇用保険の加入 対象になる人 もらえる額の目安 申請先
失業保険(基本手当) 必要 求職中の離職者 賃金日額の50〜80%×90〜330日 ハローワーク
再就職手当 必要 早期に再就職した人 基本手当日額×残日数×60〜70% ハローワーク
就業促進定着手当 必要 再就職して給料が下がった人 前職との賃金の差額分 ハローワーク
高年齢求職者給付金 必要 65歳を過ぎて会社を辞めた人 基本手当日額の30日分または50日分 ハローワーク
特例一時金 必要 季節労働・短期雇用の離職者 基本手当日額の40日分 ハローワーク
日雇労働求職者給付金 必要 日雇い労働者 1日4,100〜7,500円 ハローワーク
雇用保険の傷病手当 必要 求職中に15日以上働けなくなった人 基本手当日額と同額 ハローワーク
訓練延長給付 必要 職業訓練を受ける人 失業保険を最長2年まで延長 ハローワーク
技能習得手当 必要 公共職業訓練の受講者 1日500円+交通費月42,500円まで ハローワーク
寄宿手当 必要 訓練のため家族と離れて住む人 月10,700円 ハローワーク
教育訓練給付金 必要 指定講座を受講・修了した人 受講費用の20〜80% ハローワーク
教育訓練支援給付金 必要 45歳未満で専門実践教育訓練を受ける人 基本手当日額の60% ハローワーク
広域求職活動費 必要 往復200km以上先へ面接に行く人 交通費+1泊8,700円 ハローワーク
移転費 必要 就職や訓練のため引っ越す人 交通費+着後手当38,000〜76,000円 ハローワーク
職業訓練受講給付金 不要 雇用保険に入っていなかった求職者 月10万円+交通費 ハローワーク
求職者支援資金融資 不要 給付金だけでは生活できない訓練受講者 月5万円または10万円(要返済) 労働金庫
住居確保給付金 不要 家賃の支払いが難しくなった人 自治体が定める上限まで最大9か月 市区町村の窓口
退職金 不問 退職金制度のある会社の勤続者 会社の規程による 会社または中退共
健康保険の傷病手当金 不問 病気やケガで働けない健康保険の加入者 給料の約3分の2を最大1年6か月 健康保険組合
未払賃金立替払制度 不問 倒産した会社の退職者 未払い額の8割(上限88〜296万円) 労働者健康安全機構
未払いの残業代 不問 残業代が支払われていない人 未払い分+割増(時効3年) 会社

 

21制度は「雇用保険に入っていた人向け」「入っていなかった人向け」「加入に関係ない」の3つに分かれます。失業保険はこのうちの1つにすぎず、失業保険と併せて受け取れる制度も複数あります。

 

この21という数字は、雇用保険、健康保険、会社の制度、労働基準法の4つの根拠にまたがる制度をすべて足し合わせたものです。根拠が分かれているため、ハローワークの窓口だけを回っていても全部は出てきません。

 

もっとも、21種類すべてを読み込む必要はありません。次の4つの質問に答えれば、自分の対象は数個に絞り込めます。

 

自分がもらえるお金は4つの質問で絞り込める

 

21制度をひとつずつ受給条件と照らし合わせると、1制度3分で計算しても1時間を超えます。次の4つの質問なら3分で済みます。

 

この4つは、21制度の受給要件をさかのぼって作った軸です。雇用保険の被保険者期間、離職理由、年齢、働ける状態かどうか。制度の条件のほとんどが、このどれかで分岐しています。

 

なかでも1問目の答えで進む先が大きく変わります。イエスなら13制度、ノーなら3制度が候補になり、退職金など4制度は答えに関係なく全員が確認する対象です。

 

会社で雇用保険に入っていたか

 

給与明細を1枚見れば確認できます。控除欄に「雇用保険料」の天引きがあれば加入していました。

 

雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあれば、会社に加入させる義務があります。正社員と契約社員はほぼ全員が当てはまり、パートやアルバイトでも週20時間以上働いていたなら入っている可能性が高いです。

 

確認する方法は次の3つです。

 

  • 給与明細の控除欄に「雇用保険料」の記載があるか見る
  • 退職時に受け取る雇用保険被保険者証が手元にあるか探す
  • ハローワークで自分の被保険者記録を照会する(本人確認書類が必要)

 

明細を捨ててしまった、会社に聞きにくいという場合は3つ目を使ってください。窓口でその場で確認できます。

 

条件を満たしていたのに未加入だった場合は、会社の手続き漏れかもしれません。さかのぼって加入を認めてもらえるケースがあるので、ハローワークに相談してください。

 

加入していた人はこのあとの13制度、入っていなかった人は3制度が候補になります。

 

自分の意思で辞めたか、会社の都合で辞めたか

 

自己都合退職でも失業保険は受け取れます。会社都合との違いは、待期7日に加えて原則1か月の給付制限がつくかどうかです。

 

給付制限は2025年4月から原則1か月に短縮されました。それ以前は原則2か月だったので、以前に調べた記憶がある人は期間が変わっています。

 

差が出るのは待ち時間だけではありません。

 

項目 自己都合退職 会社都合退職
給付制限 待期7日+原則1か月 待期7日のみ
必要な被保険者期間 離職前2年間に12か月以上 離職前1年間に6か月以上
所定給付日数 90〜150日 90〜330日

 

基本手当日額6,000円の人が会社都合と認定されて給付日数が180日分増えれば、それだけで100万円を超える差になります。給付の開始も1か月早まります。

 

病気、家族の介護、ハラスメントなどやむを得ない事情で辞めた場合は、特定理由離職者として給付制限が外れることがあります。離職票に書かれた離職理由が実態と違うときは、ハローワークの窓口で異議を申し立ててください。パワハラの記録や残業時間を示す資料が残っていると認定されやすくなります。

 

退職したときに何歳だったか

 

65歳が大きな区切りです。65歳以上で退職した場合、失業保険(基本手当)ではなく高年齢求職者給付金の対象になります。

 

高年齢求職者給付金は一時金として一度に支給されます。被保険者だった期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、6か月以上1年未満なら30日分です。基本手当日額5,000円なら25万円がまとめて振り込まれる計算になります。

 

失業保険を探して「64歳までが対象」と書かれた説明を読み、自分は対象外だと諦めてしまう人がいます。制度が別枠になっているだけで、受け取れるお金はあります。

 

ただし一時金のため、失業保険のように数か月にわたって受け取り続けることはできません。

 

45歳未満の人には別の分岐があります。専門実践教育訓練を受けるなら教育訓練支援給付金の対象になり、訓練中の生活費として基本手当日額の60%を受け取れます。

 

病気やケガですぐには働けない状態か

 

失業保険は「すぐ働ける状態であること」が受給条件です。療養中の人は原則として対象外になります。

 

対象外と言われると権利が消えたように感じますが、そうではありません。状況に応じて次の3つが使えます。

 

  • 15日以上働けない場合は、雇用保険の傷病手当(日額は基本手当と同額)
  • 退職前から続けて休んでいた場合は、健康保険の傷病手当金(最大1年6か月)
  • 働けない期間が30日を超える場合は、失業保険の受給期間そのものを最長4年まで延長

 

このうち最も多い失敗が、受給期間の延長手続きを忘れて、体調が戻ったころには受給期間の1年が過ぎていたというケースです。働けない状態が30日を超えたら、その時点でハローワークに延長を申し出てください。

 

4つの質問に答え終えたら、自分が該当する分類の説明へ進んでください。

 

雇用保険に入っていた人がもらえるお金

 

雇用保険に入っていた人は13制度が候補になります。中心は失業保険で、そこから再就職した人向け、訓練を受ける人向け、遠方へ動く人向けに枝分かれしていきます。

 

13制度すべてに目を通す必要はありません。自分が「失業中」「再就職が決まった」「訓練を受ける」「遠方へ移る」のどれに当てはまるかで、読む先を選んでください。

 

以下、制度ごとに金額と申請期限をまとめています。

 

失業保険(基本手当)

 

対象になる人 離職前2年間に被保険者期間12か月以上(会社都合は1年間に6か月以上)で求職中の人
もらえる額 賃金日額の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)を90〜330日分
申請期限 受給期間は退職日の翌日から1年
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

金額は自分で計算できます。退職前6か月の給与総額(賞与は除く)を180で割った額が賃金日額で、そこに給付率を掛けた額が1日分になります。

 

給付率が50〜80%と幅を持つのは、賃金が低い人ほど生活への影響が大きいためです。給料が少なかった人ほど高い給付率が適用されます。

 

月給30万円だった人なら賃金日額はおよそ1万円、給付率60%前後で基本手当日額は約6,000円です。所定給付日数90日なら総額で約54万円になります。

 

基本手当日額には年齢ごとの上限があり、毎年8月1日に改定されます。上限に近い給与だった人は、厚生労働省が公表している最新の額を確認してください。給料が高かったからといって、そのまま比例して受け取れるわけではありません。

 

受給できる日数は退職の理由と加入していた期間で変わります。自己都合なら90日から150日、会社都合なら90日から330日です。同じ給料でも、会社都合と認定されるかどうかで総額が倍以上変わることもあります。

 

もっとも見落としが多いのが受給期間です。受け取れるのは退職日の翌日から1年間で、1年を過ぎてしまうと、日数が丸ごと残っていても支給は止まります。自己都合退職は待期7日と給付制限1か月があるため、初回の振込まで2か月近くかかります。離職票が届いたらその足でハローワークへ行ってください。

 

再就職手当

 

対象になる人 給付日数を3分の1以上残して次の仕事に就いた人
もらえる額 基本手当日額×支給残日数×60%または70%
申請期限 再就職日の翌日から1か月以内
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

早く決めるほど得をする仕組みです。残日数が3分の2以上あれば70%、3分の1以上なら60%が支給されます。

 

基本手当日額6,000円で所定給付日数90日の人が、残日数60日の時点で再就職したとします。6,000円×60日×70%で25万2,000円です。失業保険を60日分(36万円)受け取り続けるより手当の額は少なくなりますが、その間の給料が加わるので手取りは増えます。

 

前の会社や関連会社への再就職は対象外です。新しい職場で1年を超えて働く見込みがあること、雇用保険に加入することも条件になります。直近3年のあいだにこの手当を受けた人も、今回は対象から外れます。

 

早期の再就職を後押しする目的の制度なので、残日数が多いほど給付率が高くなる設計になっています。就職先を選ぶ余裕があるなら、給付日数を消化してから決めるより、早めに決めて手当を受け取るほうが手元に残る額は増えます。

 

引っかかりやすいのが内定のタイミングです。内定をもらった日が、ハローワークで手続きをした日より前だと対象になりません。退職前にすでに次が決まっている人は該当しないので、転職活動を始める前にハローワークで手続きを済ませてください。

 

就業促進定着手当

 

対象になる人 再就職手当を受け取り、再就職後の賃金が前職より低い人
もらえる額 前職との賃金の差額分(上限は基本手当日額×支給残日数×20%)
申請期限 再就職日から6か月経過した日の翌日から2か月以内
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

再就職手当だけだと、給料が下がってでも早く就職した人が損をします。その目減り分を埋めるのがこの手当です。

 

再就職先で6か月以上、雇用保険の被保険者として働き続けることが条件になります。

 

計算式は(前職の賃金日額-再就職後6か月の賃金日額)×賃金支払基礎日数です。前職1万円が再就職後8,333円に下がった人なら、差額1,667円×180日で30万円を超えます。

 

ただし上限があります。基本手当日額×支給残日数×20%が上限で、基本手当日額5,971円・残日数60日なら71,652円です。計算式どおりの額がそのまま出ると思っていると、実際の振込額に驚くことになります。2025年3月以前に再就職手当が支給された人は、上限の割合が40%または30%です。

 

6か月以内に辞めると受け取れません。短期で転職を重ねるつもりなら、この6か月の壁を意識しておいてください。

 

申請書は再就職から5か月ほど経つとハローワークから送られてきます。届いたら、6か月間の出勤簿と賃金台帳の写しを勤務先からもらって提出してください。会社に依頼する書類があるので、期限ぎりぎりに動くと間に合いません。

 

高年齢求職者給付金

 

対象になる人 65歳以上で離職し、ハローワークに求職の申し込みをした人
もらえる額 基本手当日額の30日分または50日分
申請期限 受給期限は離職日の翌日から1年
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

65歳以上は雇用保険上で高年齢被保険者という別枠になるため、給付も基本手当ではなく一時金の形になります。

 

被保険者だった期間が1年以上なら50日分、6か月以上1年未満なら30日分です。基本手当日額5,000円で1年以上なら25万円が一度に振り込まれます。

 

年金を受け取りながらでも支給されます。失業保険は老齢厚生年金との調整で年金が止まる場合がありますが、高年齢求職者給付金にはその調整がありません。

 

働く意思がなければ支給されない点には注意してください。ハローワークで求職の申し込みをすることが条件なので、退職したら手続きだけは済ませておく必要があります。

 

一時金なので、失業保険のように数か月にわたって受け取ることはできません。受け取ったあとの生活費をどう組み立てるかは、振り込まれる前に考えておいてください。

 

特例一時金

 

対象になる人 季節的・短期的に雇用される短期雇用特例被保険者
もらえる額 基本手当日額の40日分
申請期限 退職日の翌日から6か月
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

農業、建設、スキー場など、季節によって仕事の有無が変わる働き方をしていた人が対象です。短期間で就職と退職を繰り返すため、一般の失業保険とは別枠で一時金として支給されます。

 

支給額は基本手当日額の40日分です。本来は30日分ですが、当面のあいだ暫定的に40日分が支給されています。基本手当日額5,000円なら20万円が一括で入り、次のシーズンまでのつなぎになります。

 

この制度は期限の重さが他と違います。退職日の翌日から6か月を過ぎると、受け取れる日数が1日ずつ減っていきます。期限から15日過ぎれば25日分、40日以上過ぎればゼロです。

 

他の制度は期限を過ぎるとゼロか満額かの二択ですが、特例一時金は日ごとに目減りします。シーズンが終わったら早めに手続きしてください。

 

日雇労働求職者給付金

 

対象になる人 日雇労働被保険者手帳を持つ日雇い労働者
もらえる額 1日あたり4,100〜7,500円
申請期限 失業した日ごとにハローワークで手続き
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

日々単発の仕事で生活している人のための制度です。日雇いの働き方は被保険者期間の計算になじまないため、印紙の枚数で受給資格を判定します。

 

必要な印紙は26枚以上で、数えるのは仕事がなくなった月からさかのぼって2か月分です。月の半分以上働いていれば足りる計算になります。

 

支給額は印紙保険料の納付状況によって1日4,100〜7,500円の幅があります。

 

前提として日雇労働被保険者手帳の交付を受けている必要があります。手帳がないと制度そのものが使えないので、これから日雇いで働く予定があるなら先に交付を受けておいてください。

 

手続きは日雇いという働き方に合わせて、失業した日ごとにハローワークで行います。ほかの制度のようにまとめて申請する形ではないので、仕事が入らなかった日はその都度足を運んでください。

 

雇用保険の傷病手当

 

対象になる人 求職の申し込み後に病気やケガで15日以上働けなくなった人
もらえる額 基本手当日額と同額
申請期限 体調が戻ってから最初に迎える認定日まで
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

失業保険はすぐ働ける状態が条件のため、求職活動中に体調を崩すと本来は受給が止まります。その穴を埋めるのがこの手当です。

 

日額は基本手当日額と同じなので、収入が途切れません。受け取れる日数の上限は、所定給付日数から支給済みの日数を引いた残りです。

 

働けない期間が14日以内なら、傷病手当ではなく失業保険をそのまま受け取れます。15日以上が分かれ目です。

 

働けない期間が30日を超えるときは、2つの道から選べます。傷病手当を給付日数いっぱいまで受け取るか、失業保険そのものの受給期間を延ばすかです。療養が長引きそうなら延長を選んだほうが、回復後に受け取れる日数を残せます。

 

名前がほぼ同じ「傷病手当金」は健康保険の制度で、申請先も金額の計算方法も別です。取り違えると窓口をやり直すことになるので、後述する対比表で必ず確認してください。

 

訓練延長給付

 

対象になる人 失業保険を受けながら、ハローワークに指示された公共職業訓練に通う人
もらえる額 失業保険を訓練終了まで最長2年延長(訓練後さらに最大30日)
申請期限 訓練開始前にハローワークで受講指示を受ける
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

訓練の途中で失業保険が切れると、生活が立ちゆかず訓練を中断せざるを得なくなります。それを防ぐために受給期間を延ばす制度です。

 

所定給付日数90日の人が6か月の訓練を受けるとします。本来なら3か月で給付が切れますが、訓練が終わるまで受け取り続けられます。基本手当日額6,000円なら、およそ54万円分が上乗せになる計算です。

 

訓練が終わってもなお就職が難しいと認められた場合は、そこからさらに最大30日延長されます。

 

条件は、所定給付日数の3分の1以上を残した状態で訓練を始めることです。失業保険を使い切ってから訓練を考えると対象になりません。職業訓練を受けるつもりがあるなら、受給が始まった早い段階でハローワークに相談してください。

 

技能習得手当と寄宿手当

 

対象になる人 公共職業訓練を受講している失業保険の受給資格者
もらえる額 受講手当1日500円、通所手当月42,500円まで、寄宿手当月10,700円
申請期限 訓練期間中に失業認定と併せて申請
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

失業保険とは別に、上乗せで支給される手当です。訓練に通うこと自体に交通費がかかると受講の妨げになるため、その実費を補う目的で用意されています。

 

内訳は3つです。受講手当が訓練を受けた日数に応じて1日500円(上限20,000円)、通所手当が訓練施設までの交通費で月額42,500円まで、寄宿手当が自宅から通えず宿泊する場合に月額10,700円です。

 

片道1時間の施設に3か月通い、交通費が月2万円かかったとしても全額が補助されます。受講手当と合わせれば、訓練期間中の実費負担はほぼゼロになります。

 

受講手当には上限20,000円があるため、40日を超える訓練では日割りの手当が頭打ちになります。手当を目当てに訓練を選ぶのではなく、身につけたいスキルで選んでください。

 

教育訓練給付金

 

対象になる人 雇用保険に1年以上加入、または離職から1年以内で指定講座を修了した人
もらえる額 受講費用の20%(上限10万円)〜50%(年間上限40万円)
申請期限 一般教育訓練は修了後1か月以内
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

厚生労働大臣が指定する講座を受けて修了すると、払った受講料の一部が戻ってきます。在職中でも使えるため、失業保険と同時に受け取れる数少ない制度でもあります。

 

戻る割合は講座の区分で変わります。

 

  • 一般教育訓練は20%(上限10万円)
  • 特定一般教育訓練は40%(上限20万円)
  • 専門実践教育訓練は50%(年間上限40万円)

 

30万円の簿記講座を一般教育訓練で受けたなら6万円が戻ります。看護師や介護福祉士などの専門実践教育訓練は年間40万円が上限で、4年制の課程なら総額200万円を超える支援になります。

 

「最大80%」という数字を見たことがあるかもしれません。これは専門実践教育訓練の50%に、資格を取って就職した場合の20%と、修了後に賃金が5%以上上がった場合の10%を積み上げた場合の数字です。誰もが80%を受け取れるわけではありません。

 

離職してから1年を過ぎると受講開始の資格を失います。ただし妊娠、出産、病気などで受講できない期間があった場合は最大20年まで延長できるので、諦める前にハローワークで確認してください。

 

教育訓練支援給付金

 

対象になる人 45歳未満で初めて専門実践教育訓練を受講する離職者
もらえる額 基本手当日額の60%
申請期限 受講開始日の2週間前まで
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

専門実践教育訓練は2年以上かかる課程が多く、失業保険の給付日数では足りません。訓練中の生活費として別枠で用意されているのがこの給付金です。

 

基本手当日額6,000円の人なら1日3,600円、月あたり約10万円が訓練中ずっと続きます。看護学校のような長期の訓練でも生活を組み立てられます。

 

認定は2か月ごとです。指定された日にハローワークへ出向いて、失業の状態にあることを確認してもらいます。通信制と夜間制の訓練は対象外です。

 

期限が短いので気をつけてください。訓練が始まる2週間前までに手続きを終えないと受け取れません。講座の申し込みだけ済ませて給付金の手続きを忘れる失敗が起きやすいので、講座を決めたその日にハローワークで手続きしてください。

 

名前が似ている教育訓練給付金とは別の制度です。あちらは受講料の補助、こちらは生活費で、失業保険と同時に受け取れるかどうかも逆になります。

 

広域求職活動費

 

対象になる人 ハローワークの紹介で往復200km以上先の会社を訪問した受給資格者
もらえる額 交通費+宿泊料1泊8,700円(一部地域7,800円・最大6泊)
申請期限 訪問を終えた日の翌日から数えて10日以内
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

地方に住んでいて都市部の求人に応募すると、交通費だけで応募をためらう額になります。その実費を補う制度です。

 

条件は、ハローワークと訪問先の距離が往復200km以上あることです。交通費に加えて宿泊料も1泊8,700円まで、最大6泊分が支給されます。

 

地方から東京へ2回面接に行けば交通費だけで5〜6万円かかりますが、条件を満たせば全額に宿泊料まで加えて受け取れます。

 

自分で見つけた求人は対象外です。ハローワークの紹介による常用求人であることが条件なので、遠方への応募を考えているなら、応募する前に窓口を通してください。順番を間違えると受け取れません。

 

申請できるのは活動を終えた日の翌日から10日以内です。他の制度より短いので、帰宅したらすぐ書類をそろえてください。

 

移転費

 

対象になる人 ハローワークなどの紹介で就職または訓練のため転居する受給資格者
もらえる額 交通費+着後手当38,000円または76,000円
申請期限 移転日の翌日から1か月以内
申請先 引っ越し先の地域を担当するハローワーク

 

転居を伴う就職は初期費用が重くのしかかります。交通費だけでなく、着後手当という定額の補助が上乗せされるのが特徴です。

 

支給されるのは移動にかかる運賃と、移転料、着後手当です。着後手当は家族が一緒に移る場合で76,000円、単身なら38,000円です。

 

家族と一緒に引っ越すなら、交通費の実費に加えて76,000円です。引っ越し代の一部をまかなえます。

 

次のいずれかに当てはまることも必要です。通勤が往復で4時間を超えてしまう、始発と終電の時間が合わず通えない、あるいは就職先から引っ越しを求められた場合です。

 

就職先から引っ越し費用が出ている場合は対象外になります。会社の転居支度金と重ねて受け取ることはできないので、内定が出た段階で会社の補助の有無を確認してください。

 

雇用保険に入っていなかった人がもらえるお金

 

雇用保険に入っていなかったから何ももらえない、と諦める必要はありません。3つの制度が使えます。

 

中心になるのは職業訓練受講給付金です。無料の職業訓練を受けながら月10万円を受け取れます。生活費が足りなければ求職者支援資金融資で借りられますが、こちらは返済が必要です。

 

住居確保給付金だけは根拠となる制度が違い、申請先もハローワークではありません。3制度とも収入と資産の要件があるため、まず自分が基準を満たすか確認してください。

 

職業訓練受講給付金

 

対象になる人 雇用保険を受けられない求職者で、本人月収8万円以下・世帯月収30万円以下・世帯の金融資産300万円以下の人
もらえる額 月10万円+通所手当月42,500円まで+寄宿手当月10,700円
申請期限 訓練が始まる前日までに手続きを終える
申請先 住んでいる地域を担当するハローワーク

 

雇用保険の受給資格がない人の再就職を支える制度です。加入歴を問わない代わりに、収入と資産の要件があります。

 

訓練の受講料そのものが無料で、そのうえ月10万円が支給されます。6か月の訓練なら給付金だけで60万円、交通費を含めれば70万円を超えます。

 

自営業を廃業した人や、短期のアルバイトで雇用保険に入っていなかった人も対象になります。

 

つまずきやすいのが出席の要件です。原則としてすべての訓練日に出席することが求められ、育児や介護などやむを得ない事情で休んだ場合でも8割以上の出席が必要になります。2割を超えて欠席すると給付が止まります。

 

子どもの急病などで休みが読めない人は、通所の負担が軽いコースを選ぶ、訓練期間の短いコースにするといった選び方で調整してください。

 

もう1つの条件が資産です。世帯の金融資産が300万円を超えていると対象外になります。貯金があるうちは使えないため、退職金が入る前に手続きするかどうかで結果が変わることもあります。

 

手続きは訓練開始日の前日までに済ませる必要があります。訓練の申し込みとは別なので、コースが決まったらハローワークで給付金の手続きも進めてください。

 

求職者支援資金融資

 

対象になる人 職業訓練受講給付金だけでは生活費が足りない訓練受講者
もらえる額 同居家族ありは月10万円、単身は月5万円(最大12か月分)
申請期限 職業訓練受講手当の支給決定後
申請先 労働金庫(ハローワークで要件確認書の交付を受けてから)

 

これは給付ではなく融資です。貸付利率は年3.0%で、返済義務があります。

 

無担保で保証人も不要という条件と引き換えに利息がつく仕組みです。上限は同居家族がいれば月10万円、単身なら月5万円で、訓練の受講予定月数(最大12か月)分まで借りられます。

 

家族がいる人なら給付金の10万円と合わせて月20万円まで生活費を確保できるので、お金が理由で訓練を諦めずに済みます。

 

借りる前に、給付金と手当だけで生活が成り立つか計算してください。訓練を終えて再就職したあとに返済が始まります。足りない分だけを借りる判断が要ります。

 

手続きはハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けてから、労働金庫に申し込む流れです。

 

住居確保給付金

 

対象になる人 離職・廃業から2年以内、または収入が同程度まで減った人
もらえる額 自治体が定める上限額まで(原則3か月・最大9か月)
申請期限 離職・廃業から2年以内
申請先 市区町村の自立相談支援機関

 

住まいを失うと求職活動そのものができなくなります。それを防ぐため、家賃に絞って支援する制度です。

 

支給期間は原則3か月で、条件を満たせば最大9か月まで延長できます。家賃6万円の人なら9か月で最大54万円分になります。

 

支払いは自治体から大家へ直接行われます。自分の口座を経由しないので、生活費に消えてしまう心配がありません。

 

見落としの原因は窓口の違いです。申請先はハローワークではなく、市区町村の自立相談支援機関になります。ハローワークだけを回っていても、この制度の案内は出てきません。

 

対象になるのは、主たる生計を維持している人が離職や廃業から2年以内であるか、収入がそれと同じ程度まで減った場合です。会社を辞めていなくても、収入が大きく落ちたなら相談する価値があります。

 

住まいに不安があるなら、失業保険の手続きとは別に自治体の窓口へ相談してください。家賃を滞納してからでは選べる手が減ります。

 

雇用保険の加入に関係なくもらえるお金

 

ここで扱う4つは、雇用保険の加入とは関係なく受け取れます。退職金は会社の就業規則、傷病手当金は健康保険法、未払賃金立替払制度は賃金の支払の確保等に関する法律、未払いの残業代は労働基準法と、根拠がそれぞれ別だからです。

 

共通するのは、申請先がハローワークではないという点です。会社、健康保険組合、労働者健康安全機構と窓口が分かれているため、ハローワークの手続きだけで終わらせている人が最も取りこぼしやすいところでもあります。

 

金額の規模も大きく、退職金と傷病手当金は数十万円から数百万円の差になります。

 

退職金

 

対象になる人 就業規則や退職金規程に定めのある会社に勤めていた人
もらえる額 会社の規程による(中退共なら勤続20年で約53万〜800万円)
申請期限 中退共は退職後5年以内
申請先 会社または中小企業退職金共済事業本部

 

退職金は法律上の義務ではありません。会社に制度があるかどうかで決まります。

 

ただし就業規則や退職金規程に支給条件と計算方法が定められている場合は、労働契約の一部になります。会社には支払う義務が生じ、従業員には請求する権利があります。

 

種類は3つです。退職時に一括で受け取る退職一時金、分割で受け取る退職年金、企業が掛金を払って共済機構から受け取る中小企業退職金共済制度(中退共)です。

 

中退共の基本退職金額は、掛金にもよりますが勤続10年で約25万〜380万円、20年で約53万〜800万円です。自分の会社が加入しているかは、退職金共済手帳を渡されるかどうかで分かります。請求書を送ってから振り込みまでは1〜2か月半かかります。

 

計算方法は「退職時点の基本給×勤続年数に応じた支給率」が一般的です。勤続年数が長いほど支給率が上がり、自己都合か会社都合かで率が変わる会社もあります。

 

規程がないと言われても、そこで引き下がる必要はありません。慣習として支給されてきた実績があれば請求できる場合があります。まず就業規則を見せてもらうよう会社に求めてください。

 

健康保険の傷病手当金

 

対象になる人 業務外の病気やケガで4日以上仕事を休んでいる健康保険の加入者
もらえる額 標準報酬月額の平均÷30×3分の2(最大1年6か月)
申請期限 働けなくなった日の翌日から2年
申請先 全国健康保険協会または健康保険組合

 

退職後も条件を満たせば受け取り続けられる制度です。支給期間は支給開始日から通算1年6か月あります。

 

月給30万円の人なら1日あたり約6,600円、月20万円ほどが続きます。1年6か月を使い切れば総額300万円を超えます。

 

条件は、連続する3日の待期を含めて4日以上仕事を休んでいることです。休業中に給与が支払われていないか、支払われていても傷病手当金の額を下回っていることも必要になります。

 

ここに知らないと必ず引っかかる落とし穴があります。退職日に1日でも出勤すると、退職後の継続給付を受ける資格を失います。挨拶や私物の片づけのために出社した、というだけで消えてしまいます。退職日は出社せず、有給か欠勤にしておいてください。

 

1日あたりの額は、支給が始まる日より前の12か月間の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2を掛けて計算します。標準報酬月額は健康保険料を決めるときに使う区分なので、毎月の給与明細か協会けんぽの保険料額表で確認できます。

 

申請には医師と会社の証明が必要です。書類の取り直しには2週間以上かかることもあるので、退職前から準備を始めてください。申請の時効は働けなくなった日の翌日から2年です。

 

未払賃金立替払制度

 

対象になる人 倒産した会社を退職し、給料や退職金が未払いの人
もらえる額 未払い額の8割(上限は29歳以下88万円、30〜44歳176万円、45歳以上296万円)
申請期限 倒産と認められた日の翌日から数えて2年
申請先 独立行政法人労働者健康安全機構

 

会社が倒産して給料が支払われないまま辞めた人を救う制度です。国が会社に代わって立て替えます。

 

立て替えられるのは未払い額の8割で、年齢別に上限があります。32歳で未払い120万円なら96万円が支払われます。未払いが220万円あっても、上限の176万円までです。

 

対象になる賃金と退職金には範囲があります。退職日をさかのぼって6か月前から、請求する日の前日までのあいだに支払日を迎えていたものが該当します。賞与は含まれません。未払い総額が2万円未満だと対象外になります。

 

破産手続きが始まっていれば話は早いのですが、会社が黙って営業をやめただけというケースもあります。この場合は事実上の倒産として労働基準監督署長の認定を受ける必要があり、自分から申し立てなければ手続きが始まりません。会社と連絡が取れなくなっても、まず労働基準監督署に相談してください。

 

未払いの残業代

 

対象になる人 法定労働時間を超えて働いたのに残業代が支払われていない人
もらえる額 時給換算した賃金に、残業した時間と割増率を掛けた額
申請期限 支払われるはずだった日から3年
申請先 会社(交渉が難しければ弁護士や労働基準監督署に相談)

 

退職したあとでも請求できます。時効は3年で、2020年の労働基準法改正で従来の2年から延びました。

 

まず月給を月の平均所定労働時間で割って時給を出し、そこに残業した時間と割増率を掛けます。割増率は時間外が125%以上(月60時間を超えた分は150%以上)、休日が135%以上、深夜が125%以上です。

 

月給32万円で所定労働時間が160時間なら、時給は2,000円です。月20時間の残業が支払われていなかったとすると、2,000円に20時間と1.25を掛けて月5万円。3年分さかのぼれば180万円になります。

 

なお、家族手当や通勤手当、住宅手当などは時給を計算するときの月給から除きます。手当を含めて計算すると実際より多い額が出てしまうので注意してください。

 

決め手は証拠です。タイムカードの写し、業務用メールの送信時刻、入退館記録などが要ります。退職すると会社の記録にアクセスできなくなるため、在職中に手元へ残しておくかどうかで結果が変わります。

 

まだ在職中で残業代に心当たりがあるなら、今日から記録を集めてください。

 

名前が似ていて取り違えやすい制度

 

制度を21も見たあとで最も混乱するのが、名前が数文字しか違わない組み合わせです。取り違えると申請先そのものを間違えます。

 

混同しやすい制度 根拠となる制度 何のためのお金か 申請先 見分け方
傷病手当金 健康保険 病気で働けない間の生活費 健康保険組合 在職中から続けて休んでいる
傷病手当 雇用保険 求職中に働けなくなった間の生活費 ハローワーク 退職して求職の申し込み後に体調を崩した
教育訓練給付金 雇用保険 講座の受講料の補助 ハローワーク 講座を修了したあとに申請する
教育訓練支援給付金 雇用保険 訓練中の生活費 ハローワーク 受講開始の2週間前までに申請する
退職給付金 総称 退職後に受け取れるお金全般 制度による 特定の制度を指す言葉ではない
退職金 会社の就業規則 勤続への報酬 会社または中退共 会社の制度がある場合のみ

 

とくに間違えやすいのが傷病手当金と傷病手当です。名前は1文字違いですが、根拠となる法律が別なので、申請先も計算方法も一致しません。

 

傷病手当金の申請書には医師の証明欄と会社の証明欄があり、書き直しには2週間以上かかることもあります。窓口を間違えて出直すと、それだけで1か月近く振込が遅れます。

 

判断がつかないときは、休み始めた時期で分けてください。在職中から続けて休んでいるなら健康保険の傷病手当金、退職してハローワークで手続きをしたあとに体調を崩したなら雇用保険の傷病手当です。

 

退職したらもらえるお金の申請期限一覧

 

制度が分かっても、期限を過ぎれば1円も受け取れません。21制度の期限を短い順にまとめました。

 

制度名 起算日 期限 過ぎるとどうなるか
広域求職活動費 活動を終了した日の翌日 10日以内 支給されない
再就職手当 再就職日の翌日 1か月以内 支給されない
移転費 移転日の翌日 1か月以内 支給されない
教育訓練給付金(一般) 講座の修了日 1か月以内 支給されない
教育訓練支援給付金 受講開始日 2週間前まで 訓練中の生活費が出ない
就業促進定着手当 再就職から6か月経過日の翌日 2か月以内 支給されない
特例一時金 退職日の翌日 6か月以内 日数が減り40日超でゼロ
失業保険 退職日の翌日 受給期間1年 残日数があっても打ち切り
高年齢求職者給付金 離職日の翌日 受給期間1年 残日数があっても打ち切り
職業訓練受講給付金 訓練開始日 前日までに手続き 訓練中の給付が出ない
住居確保給付金 離職・廃業日 2年以内 申請できない
傷病手当金 働けなくなった日の翌日 2年 時効で請求できない
未払賃金立替払制度 倒産認定日の翌日 2年以内 請求できない
退職金(中退共) 退職日 5年以内 時効で請求できない
未払いの残業代 支払日 3年 時効で請求できない

 

起算日が制度ごとに違う点に気をつけてください。同じ「1か月以内」でも、再就職手当は再就職日から、移転費は引っ越した日から数えます。退職日を基準に数えていると、うっかり過ぎてしまいます。

 

最も短いのは広域求職活動費の10日です。面接から戻ったら真っ先に手続きしてください。逆に未払いの残業代は3年、傷病手当金と未払賃金立替払制度は2年あるので、期限の短いものから順に片づければ間に合います。

 

期限の性格も2種類に分かれます。再就職手当や移転費のように「事が起きてから何日以内に出す」ものと、教育訓練支援給付金や職業訓練受講給付金のように「始まる前に手続きを終える」ものです。後者は始まってから気づいても取り返せません。訓練や講座を申し込むときは、受講の申し込みと給付金の手続きを必ず一組で考えてください。

 

期限を過ぎても間に合う可能性がある2つのケース

 

期限を過ぎたと思っても、次の2つに当てはまるなら救済される可能性があります。

 

  • 病気、ケガ、妊娠、出産、育児、介護で30日以上働けなかった場合、失業保険の受給期間を最長4年まで延長できる
  • 離職票の離職理由に納得がいかない場合、ハローワークで異議を申し立てられる

 

延長は特別に認めてもらう措置ではなく、制度で定められた権利です。働けない期間まで受給期間に含めてしまうと、求職活動中の生活を支えるという制度の意味がなくなるからです。

 

出産で1年間働けなかった人が、諦めていた失業保険を4年の枠内で受け取れます。基本手当日額6,000円で90日分なら54万円が戻る計算になります。教育訓練給付金も同じ理由で受講開始の期限を最大20年まで延長できます。

 

異議申し立てが認められて会社都合になれば、給付制限が外れて給付日数も増えます。

 

ただしどちらも自分から申し出ないと動きません。延長の手続きにも期限があり、受給期間の1年が過ぎてからでは延長できません。働けない状態が30日を超えたら、療養中でもハローワークに連絡してください。

 

同時にもらえるお金ともらえないお金

 

複数の制度を同時に受け取れるかどうかは、制度の目的が重なるかどうかで決まります。生活費を補う制度どうしは重ねられず、目的が違えば重ねられます。

 

組み合わせ 同時に受け取れるか 理由
失業保険と再就職手当 不可 再就職すると失業状態ではなくなる
失業保険と教育訓練給付金 生活費と受講料で目的が違う
失業保険と教育訓練支援給付金 不可 どちらも生活費が目的
失業保険と訓練延長給付 不可 失業保険の受給期間を延ばす制度
失業保険と技能習得手当 訓練の実費を補う上乗せ
失業保険と求職者支援制度 不可 失業保険を受けられない人が対象
失業保険と傷病手当(雇用保険) 不可 働けない期間の代替として支給
失業保険と退職金 退職金は会社の制度で根拠が別
失業保険と傷病手当金(健康保険) 不可 働ける状態かどうかで矛盾する

 

この原理を押さえておけば、表に載っていない組み合わせも自分で見当がつきます。生活費どうしなら片方、目的が違うなら両方、と考えてください。

 

たとえば失業保険と教育訓練支援給付金はどちらも生活費なので重ねられませんが、失業保険と教育訓練給付金は生活費と受講料なので両方受け取れます。

 

表は目安として使ってください。給付の残日数や過去の受給歴によって判断が変わるため、自分のケースはハローワークの窓口で確認する必要があります。

 

失業保険と再就職手当は同時にもらえない

 

再就職した時点で失業状態ではなくなるので、失業保険の支給は止まります。ただし残りが切り捨てられるわけではありません。

 

残った日数に応じて再就職手当が支払われます。残日数が3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%です。

 

受け取る額だけを比べると、失業保険を最後まで受け取ったほうが多くなります。それでも再就職先の給料が加わるため、手元に残る額は再就職したほうが増えます。失業保険を使い切ってから就職すると、この手当は1円も出ません。

 

再就職手当を受け取ったあとに短期間で辞めても、原則として返還は求められません。ただし過去3年以内に再就職手当を受けていると次は対象外になるので、転職を繰り返す予定があるなら受給の履歴を意識しておいてください。

 

失業保険と教育訓練給付金は同時にもらえる

 

失業保険は生活費、教育訓練給付金は受講料の補助です。目的が重ならないので両方受け取れます。

 

失業保険で月18万円を受け取りながら30万円の講座に通い、修了後に6万円が戻る。こういう組み合わせが成り立ちます。求職期間をそのまま資格取得の期間に充てられます。

 

注意が要るのは教育訓練支援給付金のほうです。こちらは訓練中の生活費が目的なので、失業保険とは同時に受け取れません。

 

名前が似ている2つで、併給できるかどうかが逆になります。両方申請しようとして窓口で差し戻されるケースが起きやすいので、前述の対比表で違いを確認してから手続きしてください。

 

見分け方は申請するタイミングです。教育訓練給付金は講座を修了したあとに申請し、教育訓練支援給付金は受講開始の2週間前までに申請します。手続きの時期そのものが違うので、迷ったらこの順番で判断してください。

 

退職前と退職直後にやっておくこと

 

在職中にしかできないことと、退職してからでないとできないことがあります。順番を間違えると取り返しがつきません。

 

就業規則の閲覧や社内の記録集めは、退職すると難しくなります。従業員でなくなると閲覧を求める根拠がなくなり、会社の記録にも触れられなくなるからです。

 

一方で失業保険の手続きは離職票が届いてからになります。こちらは自分で早めることができません。だからこそ、在職中にできることを先に片づけておく意味があります。

 

ここから挙げる4つを順に済ませれば、この記事で紹介した制度の大半に着手できます。自分が今どちらの段階にいるかを確認して、該当するところから始めてください。

 

就業規則で退職金の規程を確認する

 

退職金の有無と計算方法は、就業規則か退職金規程に書かれています。在職中なら、いつでも見せてもらえます。

 

労働基準法で会社には就業規則を従業員に周知する義務があるため、閲覧を求めるのは正当な要求です。退職すると従業員ではなくなり、この根拠が使えなくなります。

 

確認するのは次の4点です。

 

  • 退職金の支給条件(勤続何年以上で支給されるか)
  • 勤続年数に応じた支給率
  • 自己都合退職と会社都合退職で支給率が変わるか
  • 中退共に加入しているか(退職金共済手帳の有無)

 

自己都合か会社都合かで支給率が変わる会社もあります。退職理由を決める前に規程を見ておけば、判断の材料になります。

 

見せてもらえない場合は労働基準監督署に相談できます。写真を撮るのが難しければ、支給条件と計算式の部分だけメモしておけば足ります。

 

離職票を会社に依頼する

 

離職票は、こちらが希望しないと発行されない場合があります。退職の意思を伝えた時点で「離職票を発行してください」と伝えておいてください。

 

転職先が決まっている人には不要な書類なので、59歳以上を除いて会社に発行義務がありません。黙っていると届かないまま日が過ぎます。

 

会社がハローワークに手続きをして発行される流れのため、手元に届くまで10日から2週間かかります。

 

自己都合退職なら初回の振込まで2か月近くかかるので、この数日の遅れがそのまま生活費の遅れになります。

 

退職後2週間を過ぎても届かない場合は会社に確認してください。それでも出てこないときは、ハローワークから会社へ督促してもらえます。自分で待ち続けないでください。

 

退職時に受け取る6つの書類をそろえる

 

離職票のほかに5種類の書類が必要になります。書類ごとに提出先の手続きが違うため、1つ欠けるとその手続きだけが止まります。

 

書類名 何に使うか いつ受け取るか
離職票(1・2) 失業保険の申請 退職後10日〜2週間
雇用保険被保険者証 転職先での雇用保険の手続き 退職日または退職後
源泉徴収票 年末調整や確定申告 退職後1か月以内
退職証明書 転職先への提出、国民健康保険や年金の手続き 請求すれば発行される
健康保険資格喪失証明書 国民健康保険への切り替え、扶養に入る手続き 退職後
年金手帳または基礎年金番号通知書 国民年金への切り替え 会社が預かっていれば退職時

 

6つそろえておけば、失業保険、健康保険、年金、税金の4つの手続きを退職後すぐに並行して進められます。健康保険の切り替えは退職の翌日から14日以内という期限があるため、書類待ちで止まると間に合わなくなります。

 

とくに健康保険資格喪失証明書は忘れられやすい書類です。国民健康保険に切り替えるときや、配偶者の扶養に入るときに求められます。手元にないと市区町村の窓口で足止めされます。

 

退職後に会社へ連絡しづらいと感じても、遠慮する必要はありません。退職証明書は労働基準法で、請求されたら交付する義務があると定められています。源泉徴収票も同様に発行が義務づけられています。

 

マイナンバーカードも各種手続きで使うので、あわせて用意しておいてください。

 

離職票が届いたらハローワークへ行く

 

離職票が届いたら、住んでいる地域を担当するハローワークで求職の申し込みをします。この日がすべての起点になります。

 

手続きした日が受給資格決定日となり、待期7日と給付制限はここから数え始めます。この日より前の求職活動や内定は制度上カウントされません。

 

持ち物は次の4点です。

 

  • 離職票(1・2)
  • マイナンバーカードなどの本人確認書類
  • 直近に撮影した顔写真1枚(マイナンバーカードがあれば省略できる場合あり)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

 

手続きを1週間早めれば、初回の振込も1週間早まります。基本手当日額6,000円なら、1週間で4万2,000円分の入金時期が変わる計算です。

 

順番の間違いにも注意してください。転職活動を先に始めて内定が出てからハローワークへ行くと、内定日が受給資格決定日より前になるため再就職手当を受け取れません。就職活動より先に求職の申し込みを済ませてください。

 

退職したらもらえるお金で損をしないための注意点

 

制度を知っていても、動き方を間違えると受け取れる額が減ります。損につながりやすいのは次の3つです。

 

いずれも仕組みを知っていれば避けられます。とくに3つ目は、知らずにやってしまうと返還額が3倍になります。

 

共通しているのは、どれも「知らなかった」で済まされない点です。給付は本人からの申告を前提に成り立っているため、申告しなかったこと自体が結果として跳ね返ってきます。

 

申請しなければ1円ももらえない

 

21制度すべてが申請主義です。条件を満たしていても、自分から申請しない限り自動では支払われません。

 

行政の側は、個人の病気の有無や家族構成、資産の状況まで知る手立てがありません。本人からの申告と証明がなければ受給資格を判定できないためです。

 

自動では支払われない代表的なものを挙げます。

 

  • 中退共の退職金は、自分で請求書を送らないと支払われない
  • 傷病手当金は、医師と会社の証明を集めて自分で提出する
  • 再就職手当は、ハローワークから声がかかるのではなく自分で申請する

 

裏を返せば、自分から動けば条件を満たす制度は確実に受け取れます。

 

どれが対象か自信がなければ、ハローワークの窓口で「離職票の手続き以外に、自分が使える制度はありますか」と聞いてください。制度名を知らなくても、状況を伝えれば案内してもらえます。

 

受給中に働くと支給が止まることがある

 

失業保険を受け取りながらアルバイトをすること自体は問題ありません。ただし失業認定申告書での申告が必要です。

 

線引きは労働時間で決まっています。1日4時間以上働くと就労とみなされ、その日の分は支給されずに後ろへずれます。4時間未満なら内職や手伝いとして扱われ、収入額によって減額されることがあります。

 

週20時間以上働くと就職したとみなされ、受給資格そのものを失う場合があります。

 

働いた日の分は消えるのではなく後ろにずれるだけなので、受け取れる総額は基本的に減りません。生活が苦しいときにアルバイトで補いながら求職活動を続けられます。

 

申告を忘れたまま認定日を過ぎてしまった場合でも、次の認定日に窓口で申し出れば修正できます。隠したまま発覚するのが最も重い結果を招きます。

 

うその申告をすると3倍返しになる

 

不正受給と判断されると、受け取った全額の返還に加えて、その2倍の追徴金が科されます。合計で受け取った額の3倍を支払うことになります。

 

3倍という重さは、不正が発覚しにくいことへの抑止として設定されています。返還だけで済むなら、発覚しても損をしないことになってしまうからです。

 

不正受給にあたるのは次のような行為です。

 

  • 働いたのに失業認定申告書で申告しない
  • 求職活動をしていないのに、したと報告する
  • 就職が決まっているのに申告せず受給を続ける

 

不正受給と認定されると、以後の受給資格も失います。悪質な場合は詐欺罪として刑事罰の対象になります。

 

正しく申告している限り、追徴のリスクはありません。アルバイトの申告を恐れて働かず、生活を切り詰める必要はないということです。

 

申告漏れに気づいたら、次の認定日を待たずにハローワークへ連絡してください。自分から申し出た場合は、不正受給ではなく訂正として扱われるのが一般的です。

 

退職したらもらえるお金でよくある質問

 

ここまでで触れきれなかった疑問に答えます。自己都合退職の扱いや、実際に振り込まれるまでの日数など、手続きを始める前に気になる点をまとめました。

 

いずれも本文で説明した制度の条件から導いた答えです。自分の離職理由がどう判定されるかなど、個別の事情が絡む部分はハローワークの窓口で確認してください。

 

自己都合で辞めても失業保険はもらえますか

 

受け取れます。会社都合との違いは、待期7日に加えて原則1か月の給付制限がつくことです。

 

給付日数には差があり、自己都合が90〜150日、会社都合が90〜330日になります。ただし受給資格そのものが否定されるわけではありません。

 

病気、介護、ハラスメントなどやむを得ない事情があった場合は、特定理由離職者として給付制限が外れることがあります。離職理由に納得がいかないときは、ハローワークで異議を申し立ててください。

 

給付金を合計すると200万円を超えることはありますか

 

200万円がまとめて支給される制度はありません。ただし複数を組み合わせれば、結果として超えることはあります。

 

たとえば専門実践教育訓練を4年制の課程で受けると、教育訓練給付金だけで総額200万円を超える支援になります。これに失業保険や再就職手当が加われば、さらに増えます。

 

受け取れる額は雇用保険の加入期間、退職理由、年齢で大きく変わります。200万円を保証するとうたう業者には注意してください。

 

ハローワークで手続きをしないまま放置するとどうなりますか

 

失業保険の受給期間は退職日の翌日から1年です。この期間が過ぎると、給付日数が残っていても受け取れなくなります。

 

職業訓練や就職支援といったハローワークのサービスも使えません。国民健康保険料の軽減にはハローワークが出す証明が必要な場合もあり、使える手が減ります。

 

病気などで働けない期間があった場合は、受給期間を最長4年まで延長できます。事情があるなら早めに相談してください。

 

失業保険は退職してから何日で振り込まれますか

 

会社都合なら1か月前後、自己都合なら2か月近くかかります。

 

内訳は、離職票が届くまで10日から2週間、手続き後の待期が7日、自己都合はさらに給付制限が原則1か月です。初回の認定日から数日から1週間で振り込まれます。

 

生活費の見通しを立てるなら、この日数を前提に準備してください。手続きが遅れれば、その分だけ初回の振込も後ろにずれます。

 

退職金がない会社でももらえるお金はありますか

 

あります。退職金の有無は会社ごとの制度によりますが、雇用保険や健康保険の制度は会社の退職金制度とは関係なく受け取れます。

 

失業保険をはじめとする雇用保険の給付、健康保険の傷病手当金は、いずれも公的な保険制度に基づくものです。会社に退職金制度がなくても影響を受けません。

 

未払いの残業代があれば、それも別途請求できます。退職金がないと言われても、就業規則に定めがあれば請求できる場合があるので確認してください。

 

給付金に税金はかかりますか

 

失業保険をはじめとする雇用保険の給付は非課税です。確定申告も要りません。健康保険の傷病手当金も同じく非課税です。

 

退職金は退職所得として課税対象になりますが、勤続年数に応じた控除があります。勤続20年までは1年あたり40万円、20年を超える分は1年あたり70万円が控除されます。

 

会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しないと税額が高くなるので、退職時に必ず出してください。年の途中で退職して再就職しない場合は、確定申告で税金が戻ることもあります。

 

退職したらもらえるお金を取りこぼさないために

 

退職後に受け取れるお金は21種類あり、失業保険はそのうちの1つにすぎません。要点を振り返ります。

 

  • 対象になるかは「雇用保険に入っていたか」「なぜ辞めたか」「何歳だったか」「すぐ働ける状態か」の4点で決まる
  • 申請期限は制度ごとに違い、最短は広域求職活動費の10日以内、最長は未払いの残業代の3年
  • どの制度も自分で申請しない限り支払われず、条件を満たしていても自動では振り込まれない
  • 傷病手当金と傷病手当のように名前が似た制度は申請先が別なので、窓口を間違えると1か月近く遅れる

 

今日やることは1つだけです。まだ在職中なら、就業規則を見せてもらって退職金の規程を確認してください。すでに退職しているなら、離職票が手元に届いているかを確認し、届いていなければ会社に催促してください。

 

自分がどの制度に当てはまるか判断がつかないときは、離職票を持ってハローワークの窓口で相談してください。住まいの費用に不安があるなら、市区町村の自立相談支援機関が窓口になります。

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