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労務管理に役立つ知識#67 『管理職者と管理監督者の違い』誤った解釈による残業代不払いは危険(残業代・人事労務コンサルティング)

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労務管理に役立つ知識#67 『管理職者と管理監督者の違い』誤った解釈による残業代不払いは危険(残業代・人事労務コンサルティング)

労務管理に役立つ知識#67 『管理職者と管理監督者の違い』誤った解釈による残業代不払いは危険(残業代・人事労務コンサルティング)

2022/10/23

管理監督者については、労働基準法第41条に、下記のように定められています。

 

【労働基準法 第41条】

この章,第6章及び第6章の2で定める労働時間,休憩及び休日に関する規定は,次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

①(省略)
② 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

③(省略)

 

第2号をみると、”監督”とは別に「管理の地位にある者」という言葉をわざわざ使用している事から、多くの事業主は自社の”管理職者”がこれに該当すると認識しているのですが、実務上は残念ながら大きな誤りです。確かに条文をそのまま読みますと、以前は管理職者=管理監督者であったかもしれません。しかしながら、この条文を逆手にとった事件が多発したことにより、解釈に変化がありました。

 

「名ばかり管理職」「名ばかり店長」という言葉、みなさま見聞きしたことがあるかと存じます。

 

例えば平成20年に起きた『日本マクドナルド事件 (H20.01.28東京地判)』

就業規則において店長以上の職位の従業員を労基法41条2号の管理監督者として扱っているところ、直営店の店長であるXが、同条の管理監督者には該当しないとして、Y社に対して過去2年分の割増賃金の支払等を求め、提訴したもの。結果、店舗運営の権限は一任されていたものの、現場でシフトマネージャーとして所定労働時間の労働を余儀なくされていたこと、本社の経営にかかる発言の機会が一切ないことや意見聴取も求められなかったことから経営と一体的であるとは認められ難く、かつ、管理監督者としてふさわしい賃金も支払われていなかったことから、従業員側が勝訴した事件です。

 

これを教訓に、管理監督者(時間外労働・休日割増賃金の対象外になり得る者か否か)の判断は、管理監督者性の有無で行うようになりました。

 

管理監督者性が有りとは、以下の3点があることを示します。

 

1.経営者と一体と言えるほどに、重要な職務と権限が与えられていること
2.出退勤について管理を受けていないこと
3.賃金面で、その地位に相応しい待遇がなされていること

 

2の出退勤については、管理監督者も”従業員”であるため、出勤簿の調製は必要です。ここでいう管理を受けないとは、始業終業の時刻を自身の裁量で決定できるという点にあり、例えフレックスでコアタイムに勤務しなくとも、欠勤控除の対象にはならないこと等を意味しています。

 

会社により細かな判断基準は異なりますが、”管理監督者性の3要件”は絶対です。

管理監督者をたてるならば、管理監督者性を満たすように、業務内容や賃金の見直しが必要です。

 

また、本人に管理監督者であることを自覚して頂くことが大事ですので、事業主が管理職者と管理監督者の違いを認識し、丁寧な説明が求められます。

 

そして労働条件が変更になりますので、労働条件通知書(兼雇用契約書)で書面通知し、エビデンスを残しておくことを忘れないよう気を付けましょう。

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