労務管理に役立つ知識#66 『振休(代休)と有休』従業員が振休(代休)日を有休で相殺したいと申し出てきた場合の対応(代休・就業規則・年次有給休暇)
2022/10/22
振休と代休の違いはご存知でしょうか。
簡単に復習をしておきましょう。
平たくいうと休日出勤日の前日までに振り返え休日が決まっている場合、当該振替休日は振休、決まっていない場合、即ち休日労働をさせた後に休日を与えた場合、その休日を代休と言います。
割増賃金の観点から見ると、振休は単純に「休日を入れ替える」だけなので、1日単位では発生しません。(もちろん通常の賃金は発生します。)ただし、週単位でみた場合、週の実働が40時間(特例対象の場合は44時間)を超えた場合は、その超過分が割増賃金の対象になります。
代休の場合は当該労働日が”所定休日”なのか”法定休日”なのかを就業規則から判断し、それぞれの割増賃金率をかけて支給します。
これを踏まえて本題です。
従業員が振休(代休)日を有休で相殺したいと申し出てきた場合、会社側はどのように対応するのか。
就業規則に従い判断することになります。
”振休についてのルールを明文化すること”これが最も大事です。
就業規則により、有休よりも振休が優先させることを明白にするのです。
「会社が休日労働を命じる際は、休日労働日の前日までに、あらかじめ振り替え休日となる日(以下「振休日」という。)を特定し、当該従業員へ周知する。振休日は出来る限り休日労働後1週間以内とし、状況により休日労働前に取得させる場合がある。」
この規定がない場合は、会社が振休を優先する根拠がありませんので、事が大きくなる前に有休を認めるが良策でしょう。なぜならば、有休の請求に対し会社は時季指定権を行使できますが、拒否権はありません。
代休についても同様です。代休は振休と異なり、労働基準法に定めがないので、取り扱いについては会社の判断に委ねられます。故にことさら明文化が必要です。
『会社は、従業員の労働衛生上の観点から、休日労働した従業員でかつ、振休の規定に該当しなかった者は、代休を取得させるものとする。』
このように定め、当該有休申請を拒否するにたる合理的な理由として、トラブルに備えておくとよいでしょう。
本人がそれでも有休を取得したいと申し出てきた場合は、会社の安全配慮義務の観点から休ませることも業務命令であることを伝え、他の営業日に取得するよう勧めてみてください。