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労務管理に役立つ知識#52 『兼業・副業ガイドライン』原則兼業・副業を認めなければなりません!(渋谷・社労士・顧問・労務相談・兼業・副業・労務アドバイザリー)

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労務管理に役立つ知識#52 『兼業・副業ガイドライン』原則兼業・副業を認めなければなりません!(渋谷・社労士・顧問・労務相談・兼業・副業・労務アドバイザリー)

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2022/08/30

7月に兼業・副業ガイドラインが更新されましたので、ビフォーアフターと企業の基本スタンスについてまとめました。

 

そもそも『兼業副業の促進に関するガイドライン』とは何か。

企業が兼業・副業を導入するうえでの基本方針を定めたものになります。導入マニュアルのようなものです。

 

ついでに兼業・副業についても抑えておきましょう。

 

双方法律上明確にこれといったものがなく、同じように使用されることもしばしばですが、私は次のように定義したいと思います。

兼業とは本業と兼務する形で本業とは別の業務をする(事業に参画する)→即ち、2つの業務が両立している様

副業とは本業とは別の仕事をする→即ち、本業と副業(メイン業務とサブ業務)の区別が明白な様

※一般的にほぼ副業に該当するでしょう。

 

以上をふまえて本題に入りましょう。

 

まずはビフォーアフターからですね。

 

・従来のガイドライン
 └原則許可制もしくは禁止する。ただし会社が認めた場合はこれを認める。
・新ガイドライン
 └原則希望者は認める。ただし一定要件に該当する場合この限りではない。

 

理由は様々あるかと思いますが、一つに所得倍増計画やインフレ懸念などの実態を鑑みて、一社で生活資金を調達することが難しくなったことが考えられます。キャリアアップが難しいから収入先を増やすことで生活資金を補ってもらう、ということですね。

*なお「原則認める」ということなので「義務」ではありません。


ガイドライン上や過去の判例からも、「認めることが適当」であるという表現を用いておりますので、あくまで最終的に認める否かは会社判断ということになります。

 

それでは、会社判断っていったいどうすればいいのでしょうか。


その答えとして、基本的なアプローチをベースに対象者を4つ視点(安全配慮、秘密保持、競合避止、信頼保持)から分析するとよいのではないでしょうか。

 

★会社の基本的な考え方
・希望者が兼業副業をすることで、自社への業務にどれだけの支障をもたらすのか4つの視点から丁寧に精査する
・精査の結果を希望者が納得*してもらえるよう、十分な説明(コミュニケーション)が必要
*「結果を希望者が納得」とは、希望者の要望をすんなり受け入れることが難しい場合には、十分な説明が必要です。
例えば、希望者が業後平日週5でアルバイトの申し出があった場合、精査の結果、会社は週3ならこれを容認できるとき、
週3たる根拠をきちんと説明できれば、希望者もその提案を受け入れやすいのはないでしょうか。

 

★希望者の見極めに使用する4つの視点

 

①安全配慮義務:本業に支障をきたすかどうか
希望者の全体の労働時間・業務量が過重であることを把握しながら何の配慮もしない場合、健康上の安全配慮義務違反として、使用者責任を問われる恐れがあります。故に勤務時間等から、業務遂行能力が維持できるかどうかで判断しましょう。
・直近6か月の平均残業時間が10時間超の社員は、健康面の配慮から対象外とする
・兼業副業を合わせて月の総労働時間は200時間までとする等

 

②秘密保持義務:業務上の秘密が漏洩する恐れがあるかどうか
業務上知りえた秘密情報が漏洩するリスクがあるため、秘密保持意識が高い者かどうかで判断しましょう。
・過去1年間の間に情報漏洩(インシデント)した者は除く
・兼業副業誓約書に同意した者のみを対象とする等

 

③競業避止義務:競業により自社の利益が害される恐れがあるかどうか
※競業避止とは、在職中、使用者と競業する業務を行わないこと
一般職の場合、利益に直結するような重要情報を持っていないため、該当しないでしょう。管理監督者が競業先で兼業する際は、
兼業先の増収増益に寄与する可能性があるので注意が必要です。

④信頼保持義務:自社の名誉を損なう行為、信頼関係を破壊する恐れがあるかどうか
会社の名誉や信用を棄損しないなど、誠実に行動出来る社員であるかどうかで判断しましょう。
・入社1年未満の者を除く
・直近1年間で休職した者を除く
・直近の評価制度でB以上
・直近1年間の出勤率8割以上等

 

判断をするうえでのポイントは3つです。

 

☆ポイント①
原則として兼業副業を認める必要があるため、判断に迷う場合は、甘めに判断をした方がよいでしょう。

 

☆ポイント②
希望者が無茶な希望を申し出た場合は、精査のうえ折衷案を提示しましょう。

 

☆ポイント③
当該判断基準は、社員にオープンになっていることが望ましいです。なぜなら、希望者の要望を変更する際やお断わりをするうえでの根拠になります。故に就業規則に明記をしましょう。

 

【総括】
従業員から兼業副業の申出があった場合、原則”許可する前提”で検討しましょう。検討の際は、4つの視点から対象者を評価し、大きな問題がないことが認められれば、希望者の要望を考慮し、会社が定める範囲内で認めてくださいね。

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