失業保険(失業手当)はいつからもらえる?認定日から振込日までのスケジュールや種類・条件を解説
2026/08/03
失業保険(失業手当)の最初の振込は、ハローワークで申請してから、会社都合退職なら約1カ月後、自己都合退職なら約1カ月半〜2カ月後が目安です。
参考:令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について(厚生労働省)
ただし、5年以内に2回以上自己都合で辞めている場合は、給付制限が3カ月に延びます。退職理由によって、入金までの期間が変わる点に注意してください。
この記事では、申請から失業認定、振込までの日程を退職理由ごとにまとめています。
受給条件と金額の目安、申請を遅らせないための準備も紹介します。初回の入金までに必要な生活費を考え、手続きを進める際に役立ててください。
自分で手続きを進めるのが不安な人は、失業保険の申請サポートを利用する方法もあります。
失業保険(失業手当)がいつからもらえるかは退職理由で決まる
最初の振込までの期間は、自己都合退職か会社都合退職かによって変わります。
どちらも申請後に7日間の待期期間がありますが、自己都合退職には給付制限も加わるためです。
数え始める日は退職日ではありません。ハローワークに離職票を提出し、求職を申し込んだ日(申請日)です。
4月1日に申請した場合の初回振込の目安は、次のとおりです。
| 退職理由 | 待期期間 | 給付制限 | 初回振込の目安 | 4月1日申請の場合 |
|---|---|---|---|---|
| 会社都合 | 7日間 | なし | 申請から約1カ月後 | 5月上旬 |
| 自己都合(原則) | 7日間 | 1カ月 | 申請から約1カ月半〜2カ月後 | 5月中旬〜下旬 |
| 自己都合(5年以内に2回以上) | 7日間 | 3カ月 | 申請から約4カ月後 | 8月上旬 |
自己都合で辞めた場合は申請から約1カ月半〜2カ月後
転職や家庭の事情などで自己都合退職した場合、初回の振込は申請から約1カ月半〜2カ月後が目安です。申請後は次の順に進みます。
- ハローワークに離職票を出して求職を申し込む
- 待期期間の7日間が明けるのを待つ
- 原則1カ月の給付制限を過ごす
- 失業認定日に失業状態の確認を受ける
- 認定の約5営業日〜1週間後に振り込まれる
待期期間と給付制限の間は、失業保険が支給されません。4月1日に申請した場合、待期期間が明けるのは4月8日、給付制限が明けるのは5月上旬です。初回の入金は、早くても5月中旬になります。
約2カ月は、給料も失業保険も入らない期間を見込んでおく必要があります。退職前に、生活費2カ月分をどう用意するか考えておきましょう。入金月がわかれば、家賃や携帯代の引き落とし日を変更する手続きも進められます。
給付制限が2カ月や3カ月になる場合もあります。条件は次の章で説明します。申請が遅れると入金も遅れるため、離職票が届いたら、その週のうちに申請を済ませましょう。
会社都合で辞めた場合は申請から約1カ月後
倒産や解雇など、会社側の事情で退職した場合は給付制限がありません。初回の振込は、申請から約1カ月後が目安です。
7日間の待期期間が明けると、支給対象の期間が始まります。約4週間後の失業認定日を経て、その約5営業日〜1週間後に入金されます。4月1日に申請した場合は、5月上旬に最初の振込が見込めます。
長時間労働やパワハラが原因で退職した人も、「特定受給資格者」と認められれば、会社都合退職と同じ条件で受給できる場合があります。
自己都合退職として扱われると、入金が1カ月近く遅れます。申請時には、退職に至った事情を窓口で具体的に伝えてください。残業時間の記録や上司とのメールのやり取りがあれば、判断の材料になります。
失業保険がすぐに振り込まれない理由は待期期間と給付制限
申請してもすぐに失業保険が振り込まれないのは、待期期間や給付制限があるためです。
待期期間は失業状態を確認するための期間で、給付制限は安易な離職を防ぐために設けられています。給付制限があるかどうかで振込月が1カ月以上変わるため、違いを確認しておきましょう。
待期期間は退職理由に関係なく適用される7日間
待期期間とは、申請日(受給資格決定日)から、失業状態の日が通算7日になるまでの期間です。
会社都合退職にも自己都合退職にも適用され、この7日間を短くすることはできません。
待期期間中の失業保険は0円です。7日間が連続している必要はなく、失業状態の日が合計7日に達すると待期期間が終わります。
期間中に働いた日は「失業状態の日」に数えられません。待期期間中に2日アルバイトをすると、その分だけ待期期間の終了が遅れ、その後の手続きや入金も遅れます。
入金を遅らせないために、申請直後の1週間は仕事を入れず、書類の整理や求人探しにあてましょう。
正当な理由のない自己都合退職には原則1カ月の給付制限が付く
給付制限とは、正当な理由のない自己都合退職に適用される、失業保険が支給されない期間です。7日間の待期期間が終わってから始まります。
離職日が2025年4月1日以降なら、給付制限は原則1カ月です。インターネット上には、改正前の「2〜3カ月」という説明も残っています。自分の離職日に適用される期間を確認してください。
| 退職理由・状況 | 離職日 | 給付制限 |
|---|---|---|
| 会社都合(特定受給資格者) | 問わず | なし |
| 病気や介護でやむを得ず辞めた自己都合(特定理由離職者) | 問わず | なし |
| 自己都合(原則) | 2025年4月1日以降 | 1カ月 |
| 自己都合(原則) | 2025年3月31日以前 | 2カ月 |
| 自己都合(5年以内に2回以上) | 問わず | 3カ月 |
会社都合退職や、病気・介護などのやむを得ない事情による退職には、給付制限が付きません。給付制限がある人は、その期間が明けてから支給対象となり、失業認定を受けた後に振り込まれます。
給付制限が1カ月に短くなると、入金までに用意する生活費の見込みも変わります。改正前の情報をもとに「3カ月は無収入」と考えていた人は、必要な生活費を1〜2カ月分少なく見積もれるはずです。
離職日は、離職票の「離職年月日」で確認できます。給付制限中にアルバイトをする場合は申告などが必要です。詳しくは、記事末のよくある質問で説明します。
5年以内に2回以上自己都合で辞めていると給付制限は3カ月
離職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職後の求職申し込みが2回以上ある場合、給付制限は3カ月です。
回数に含まれるのは、正当な理由のない自己都合退職だけです。会社都合退職や、特定理由離職者としての離職は含まれません。
転職を繰り返している人は、直近5年間の退職理由を確認してから生活費を見積もってください。給付制限が3カ月の場合、初回の振込は申請から約4カ月後になります。
自分に適用される給付制限がわからない場合は、申請時に窓口で過去の受給歴とあわせて確認してください。
失業保険をもらえる人の条件
失業保険を受け取るには、働く意思と能力があり、求職活動をしていることが必要です。
雇用保険に一定期間加入していたことも条件になります。必要な加入期間は、退職理由によって異なります。
自己都合退職は2年間で12カ月以上の雇用保険加入が必要
自己都合退職の場合は、離職日からさかのぼって2年間に、雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)が合計12カ月以上必要です。
被保険者期間は、雇用保険に加入して働いていた月数を指します。加入の有無は給与明細で確認でき、雇用保険料が引かれていれば、その月は加入月として数えられます。
転職していても、失業保険を受け取らずに次の会社へ移った場合は、加入期間を合算できます。
入社から1年未満で自己都合退職した場合は、原則として受給できません。
ただし、病気や介護が理由で退職し、後述する「特定理由離職者」と認められた場合は、6カ月の加入期間で対象になります。
受給対象になるか判断できない場合は、ハローワークの窓口で確認してください。LINEで受けられる無料の受給診断で見込みを確認する方法もあります。
会社都合退職は1年間で6カ月以上の雇用保険加入が必要
倒産や解雇で退職した場合は、離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6カ月以上あれば受給できます。
倒産や解雇などで退職し、準備する時間がないまま職を失った人は、「特定受給資格者」として扱われます。加入期間は自己都合退職と同じように、雇用保険に加入していた月を合算します。
勤め始めて半年で解雇された人も、対象になる場合があります。勤続期間が短いという理由だけで諦めず、申請を進めましょう。
離職票の離職理由欄で、特定受給資格者に当たるか確認できます。記載が事実と異なる場合は、ハローワークの窓口で申し出てください。
病気や介護で辞めた場合も6カ月以上の加入で対象になる
自己都合退職でも、やむを得ない事情があり「特定理由離職者」と認められれば、会社都合退職と同じく6カ月以上の加入で受給できます。
対象となる主な事情は、次のとおりです。
- 契約の更新を望んだのに認められず退職した
- 出産や育児で退職し、受給期間の延長を受けた
- 家族の介護や扶養など、家庭の事情が急に変わった
- 配偶者と別居を続けるのが難しくなり住まいを移した
- けがや病気、通勤困難で働き続けられなかった
- 会社の希望退職の募集に応じた
特定理由離職者に当たるかどうかは、ハローワークが判断します。診断書や契約書など、事情を示す資料を持参して、申請時に相談してください。
特定理由離職者と認められると給付制限が付かず、初回の振込も会社都合退職と同じ約1カ月後になります。
失業保険を受け取るまでの手順
失業保険は、必要書類の準備、求職の申し込み、雇用保険説明会、失業認定を経て振り込まれます。
申請日が、その後の待期期間や給付制限、失業認定の日程の起点になります。入金を遅らせないために、書類の準備から進めましょう。
手続きを行うのは、自分の住所を管轄するハローワークです。引っ越したばかりの人は、現在の住所の管轄を先に確認してください。
離職票などの必要書類をそろえる
申請には、次の書類が必要です。書類がそろっていないと、申請を受け付けてもらえません。
- 離職票-1、2(退職した会社から届く)
- マイナンバーカード(ない場合は通知カードなどの番号確認書類と、運転免許証などの身元確認書類)
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.4cm)
- 本人名義の通帳かキャッシュカード
離職票は自分では用意できず、退職した会社から届くのを待ちます。到着の目安は退職日から10日〜2週間です。2週間を過ぎても届かない場合の対処法は、後半の章で説明します。
毎回の手続きにマイナンバーカードを持参する場合は、証明写真を省略できます。振込先は基本的に本人名義の口座を使えますが、一部の金融機関は指定できません。普段使っている口座のほかに、もう1つ口座を控えておくと安心です。
写真や通帳は退職前に用意できます。離職票が届いてからすぐ申請できるように、先にそろえておきましょう。書類に不備があると再び窓口へ行く必要があり、その分だけ入金も遅れます。
ハローワークで求職の申し込みをする
書類がそろったら、管轄のハローワークへ行き、離職票を提出して求職を申し込みます。
この日が「受給資格決定日」です。待期期間の7日間をはじめ、給付制限や失業認定の日程も、この日を起点に決まります。申請を1日早めると、待期期間や認定日、振込も1日ずつ早まります。
失業保険は、再就職までの生活を支える給付です。働く意思を示すために、求職の申し込みが必要になります。
窓口では、退職の経緯や希望する働き方を聞かれます。特定受給資格者や特定理由離職者に当たりそうな事情があれば、このときに伝えてください。
申し込みが終わると、雇用保険説明会の日時を案内されます。手続き自体は半日ほどで終わるため、離職票が届いた週のうちに申請しましょう。
雇用保険説明会に参加する
申請時に案内された日時に、雇用保険説明会へ参加します。
説明会では、受給の流れや失業認定申告書の書き方などを確認します。最初の失業認定日も、このときに決まります。
認定日がわかったら、スマートフォンのカレンダーなどに登録しましょう。認定日に行けないと、28日分の振込が先送りになります。
持ち物と開始時刻は、申請時に渡された案内で確認できます。前日に見返しておきましょう。
失業認定日に失業の認定を受ける
失業認定日には、求職活動の実績を記入した失業認定申告書をハローワークに提出し、失業状態の確認を受けます。
失業認定には、原則として前回の認定日から2回以上の求職活動実績が必要です。初回は1回で足りる場合があります。
実績として認められるのは、窓口での職業相談、求人への応募、指定のセミナーへの参加などです。求人サイトを見るだけでは、実績になりません。
認定日の直前に応募すると、応募先とのやり取りが認定日までに間に合わないことがあります。認定期間の前半に職業相談を1回済ませておくと、直前に慌てずに済みます。
活動した日付と内容は、その都度メモしておきましょう。申告書に記入しやすくなります。振り込まれるのは認定を受けた日数分なので、認定日に行けるよう予定を調整してください。
初回の振込を確認する
失業認定を受けると、約5営業日〜1週間後に指定口座へ振り込まれます。給付制限がある人の初回支給は、制限が明けた後の認定日を経てからです。
その後は4週間ごとに認定を受け、振込を確認します。給付日数を使い切るか、再就職が決まるまで続きます。
入金額は「基本手当日額×認定された日数」で計算します。初回は日割りのため、金額が少なくなりやすい点に注意してください。詳しくは、よくある質問で説明します。
認定日から1週間を過ぎても入金されない場合は、認定の処理状況をハローワークに問い合わせてください。
失業保険を1日でも早くもらう方法
振込を早めるためにできるのは、早めに申請すること、書類の不備を防ぐこと、対象の教育訓練を受けることです。特別な資格や費用は必要なく、数日から1カ月分、入金を早められます。
ただし、7日間の待期期間は、どの退職理由でも短縮できません。申請の準備や、給付制限が解除される条件の確認を進めましょう。
離職票が届いたら早めに申請する
離職票が届いたら、その週のうちに申請を済ませましょう。
待期期間や給付制限、認定日の日程は、申請日を起点に決まります。申請が1週間遅れると入金も1週間遅れ、早く申請すれば、その分だけ入金も早まります。
証明写真と通帳の準備、マイナンバーカードの確認、管轄のハローワークの場所や受付時間の確認は、退職前に済ませられます。先に準備しておけば、離職票が届いてから1日で申請まで進められるはずです。
初回の求職申し込みでは、ハローワークの窓口へ行く必要があります。
退職後は、保険や年金の切り替えなどの手続きも重なります。申請を後回しにした分だけ入金が遅れるため、離職票が届いた日に申請へ行くつもりで準備しておきましょう。
提出書類の不備をなくして出直しを防ぐ
書類の不備があると申請を受け付けてもらえず、そろえ直して再び窓口へ行く必要があります。この数日間も、振込が遅れる原因になります。
特に確認したいのは、離職票の退職理由欄です。記載が事実と異なると、給付制限の有無が変わり、入金時期に約1カ月の差が出ます。
会社都合で退職したのに自己都合と記載されていたら、署名する前に会社へ訂正を求めるか、ハローワークの窓口で申し出てください。
結婚などで氏名が変わった人は、振込先の口座が旧姓のままになっていないかも確認しましょう。出かける前に書類を並べ、名前・日付・退職理由欄を見直すと、申請時の不備を減らせます。
教育訓練を受けると給付制限が解除される
自己都合退職の人も、対象の教育訓練を受けると給付制限が解除されます。給付制限を待たずに支給対象となり、7日間の待期期間だけが残ります。
2025年4月の改正で、ハローワークが指示する訓練だけでなく、自分で選んだ指定講座でも給付制限が解除されるようになりました。適用条件は次のとおりです。
- 受講の開始が2025年4月1日以降
- 訓練を受け始めた時期が、離職の1年前から離職後までの間
- 講座が国の指定を受けている
離職前から受講していた場合は、待期期間が明けてから支給対象になります。離職後に受講を始めた場合は、待期期間が明けた後の受講開始日からです。
1カ月の給付制限がなくなり、再就職に向けた勉強も進められます。公共職業訓練の場合は、受講手当や、交通費にあたる通所手当が支給されることもあります。
すべての講座が対象ではありません。申し込む前に、受けたい講座で給付制限が解除されるか、窓口で確認してください。
失業保険の振込日が遅れてしまうケース
申請後も、離職票の到着の遅れや、認定日の欠席などで振込が遅れることがあります。
求職活動の実績が足りない場合も、支給を受けられません。それぞれの対処法を確認しておきましょう。
離職票が会社から届かない
離職票が届かないと、申請の準備が整っていても手続きを進められません。
通常は退職日から10日〜2週間で届きますが、会社の手続きが遅れて、それ以上かかることもあります。離職票がないと申請できず、待期期間や給付制限も始まらないため、振込も遅れます。
離職票が届かない場合は、次の順で確認してください。
- 退職から2週間を過ぎたら、会社の総務や人事に発行状況を問い合わせる
- 会社が動かない、連絡しづらいときは、ハローワークに相談して会社へ催促してもらう
- それでも届かないときは、離職票なしで進められる仮手続きができないか窓口で聞く
退職から2週間を過ぎても届かない場合は、自分から問い合わせましょう。会社への催促や仮手続きには費用がかからず、電話で相談を始められます。
会社には「離職票はいつ発行されますか」と、発行予定日を聞いてください。退職前にも発行時期を確認し、送り先の住所を総務へ伝えておくと、手続きや郵送の行き違いを減らせます。
失業認定日にハローワークへ行けなかった
失業認定日にハローワークへ行けないと、その認定期間の分(通常28日分)は振り込まれません。
支給を受ける権利がなくなるのではなく、後ろにずれる扱いです。ただし、その月の生活費として見込んでいた入金はなくなります。
病気やけが、親族の葬儀、採用面接などのやむを得ない理由があり、診断書や面接証明書を提出できる場合に限り、事前に連絡すれば認定日を変更できます。採用面接の場合は、日程がわかるメールを残しておくと、事情を伝えやすくなります。
日程変更の相談は、原則として認定日より前に済ませてください。当日の電話では間に合わないことがあります。
「うっかり忘れていた」という理由では救済されません。認定日が決まったらカレンダーに登録し、予定が重なりそうなら、早めにハローワークへ連絡しましょう。
求職活動の実績が足りず失業認定を受けられなかった
認定日に窓口へ行っても、求職活動の実績が足りないと失業認定を受けられず、その回は支給されません。
失業保険を受け取るには、求職活動の実績が必要です。手続きの章で説明したように、職業相談や求人への応募などを原則2回行います。
認定日の2〜3日前に活動を始めると、間に合わないことがあります。認定期間の早い段階で1回目を済ませ、中盤で2回目を行う予定を立てておきましょう。
ハローワークでの職業相談は1回の実績となり、認定日に関する疑問もその場で聞けます。何をすればよいか迷った場合は、職業相談を利用してください。
失業認定を受けられなかった場合も、次の認定期間から改めて活動できます。ただし、その28日分の入金がない期間は取り戻せません。
失業保険でもらえる金額の計算方法
失業保険の受給総額は、「1日あたりの金額(基本手当日額)×受給できる日数」で決まります。
1日あたりの金額は、離職前6カ月の給与合計を180で割った「賃金日額」に、50〜80%の給付率を掛けて計算します。
給与合計には残業代や通勤手当を含めますが、賞与や退職金は含めません。ボーナスを含む年収で計算すると、実際より多く見積もってしまうため、月給をもとに計算してください。
1日あたりの金額は退職前の給料の50〜80%
基本手当日額は、賃金日額の50〜80%です。60〜64歳の場合は、45〜80%になります。
退職前の給与が低い人ほど、給付率は高くなります。ただし、基本手当日額には上限があり、離職時の年齢によって異なります。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 29歳以下 | 7,255円 |
| 30〜44歳 | 8,055円 |
| 45〜59歳 | 8,870円 |
| 60〜64歳 | 7,623円 |
下限は、すべての年齢で2,411円です。表の上限額とこの下限額は、いずれも令和7年8月1日時点の金額です。
おおよその1日分は、月給を30で割った金額の5〜8割と考えられます。給与が高かった人は上限が適用されるため、在職中の収入より少なくなることを見込んで生活費を考えましょう。
賃金日額にも上限と下限があり、計算式にも細かい調整が入ります。1円単位の正確な金額は、受給資格の決定時にわかります。金額は毎年8月に見直されるため、受給時に最新の金額を窓口で確認してください。
月給28万円で6年勤めた場合の受給総額シミュレーション
28歳、月給28万円、勤続6年の場合で、受給額を計算します。
- 賃金日額は、28万円×6カ月分÷180で約9,333円
- 基本手当日額は、約9,333円×給付率で約5,941円
- 会社都合なら、約5,941円×120日で総額約71万円
- 自己都合なら、約5,941円×90日で総額約53万円
給与や勤続期間が同じでも、退職理由によって受給総額に約18万円の差が出ます。28日分の金額はおよそ16万〜17万円で、4週間ごとに入金される計算です。
自分の月給から1日分の目安を出すには、「月給×6÷180×0.5〜0.8」で計算します。給付率は、賃金日額が低いほど80%に近く、高いほど50%に近くなります。
月給28万円の手取りと比べると、失業保険は6〜7割の水準です。生活費をすべてまかなうのは難しいため、不足する金額を貯金でどのくらい補えるか確認しましょう。それによって、収入がないまま転職活動を続けられる期間がわかります。
正確な受給額は、受給資格の決定時に示される基本手当日額で確認できます。
失業保険をもらえる日数は90日から330日
失業保険を受け取れる日数(所定給付日数)は、90日から330日です。退職理由、離職時の年齢、雇用保険に加入していた年数によって決まります。
自己都合退職と会社都合退職では、日数の決まり方が異なります。それぞれの表で確認してください。
自己都合退職は90日から150日
自己都合退職の給付日数は、年齢ではなく、雇用保険の加入年数で決まります。
| 被保険者期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
転職する人の多くは加入年数が10年未満のため、90日、つまり約3カ月分が目安です。定年退職や契約期間満了による退職にも、この表と同じ日数が適用されます。
受給できる期間がわかると、転職活動の予定を立てやすくなります。給付日数を使い切る前に再就職が決まれば、残りの日数に応じて再就職手当を受け取れる場合もあります。詳しくは、よくある質問で説明します。
勤続期間が10年や20年に近い人は、雇用保険に加入していた月数を確認してから、給付日数を見積もりましょう。
会社都合退職は90日から330日
会社都合退職の給付日数は、年齢と雇用保険の加入年数に応じて90日から330日になります。自己都合退職より長く受給できる場合があります。
| 雇用保険の加入年数 | 30歳未満 | 30〜34歳 | 35〜44歳 | 45〜59歳 | 60〜64歳 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
| 5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
| 10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
| 20年以上 | - | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
最長の330日が適用されるのは、45〜59歳で20年以上勤めた人です。会社都合退職では、突然収入がなくなることや、年齢が上がるほど再就職に時間がかかることを考慮して、給付日数が設定されています。
自己都合退職との給付日数の差は、最大180日です。どちらに当たるかは、離職理由をもとにハローワークが判断します。
会社から退職を促されたのに、自己都合退職として処理されそうな場合は、離職票に署名する前に窓口へ相談してください。
申請が遅れると1年の期限でもらいきれなくなる
失業保険を受け取れる期限は、原則として離職日の翌日から1年です。この「受給期間」を過ぎると、給付日数が残っていても受け取れません。
たとえば、給付日数が150日の人が申請を7カ月遅らせると、待期期間と給付制限を経た後、期限までに残るのは約4カ月です。150日のうち最後の1カ月分あまりは期限を超えるため、受け取れなくなります。
病気やけが、出産・育児などですぐに働けない場合は、受給期間の延長を申請すると、期限の進行を止められます。延長できる期間や手続きの時期は事情によって異なるため、該当しそうな場合は早めに窓口へ相談してください。
失業保険が入るまでの生活費が足りないときの対処法
初回の入金までの1〜2カ月分の生活費が足りない場合は、失業保険以外の公的給付も検討できます。
家賃の支払いが難しい人、病気やけがで働けない人、失業保険を受け取れない人には、次のような制度があります。
| 制度名 | こんな人向け | もらえる額の目安 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 住居確保給付金 | 家賃の支払いが苦しい | 家賃相当額(上限あり) | 市区町村の相談窓口 |
| 傷病手当金 | 病気やけがで働けない | 給与の約3分の2 | 加入していた健康保険 |
| 職業訓練受講給付金 | 失業保険をもらえない | 月額10万円 | ハローワーク |
どの制度も申請が必要で、利用条件は異なります。自分に当てはまりそうな制度があれば、申請先の窓口で条件を確認してください。
家賃が払えないときは住居確保給付金
住居確保給付金は、離職などで家賃を払えなくなった人に、自治体が家賃相当額を支給する制度です。収入や資産などの条件は、市区町村の窓口で確認できます。
失業保険の入金が始まると、その金額が収入として扱われます。そのため、住居確保給付金の支給が止まったり、減額されたりする場合があります。
両方を満額で受け取り続ける制度ではなく、失業保険が入るまでの家賃を補うために利用するものと考えてください。
家賃は固定費の中でも負担が大きいため、公的給付で補えれば、給付制限中の生活費を確保しやすくなります。滞納してからよりも選択肢が残っているうちに相談できるよう、支払いが難しくなりそうな時点で窓口へ行きましょう。
体調を崩して働けないときは傷病手当金
在職中に病気やけがで働けなくなった人は、傷病手当金の対象になるか確認してください。加入していた健康保険から、給与のおよそ3分の2を受け取れる制度です。
傷病手当金は働けない人への給付で、失業保険は働ける人への給付です。同時には受け取れません。
働けない間は傷病手当金の対象となり、回復して求職活動ができるようになると、失業保険の対象になります。
療養が長引きそうな場合は、失業保険の受給期間の延長も申請しておきましょう。延長しないと、回復した時点で1年の期限が過ぎ、失業保険を受け取れないことがあります。
訓練を受けながら月10万円もらえる職業訓練受講給付金
職業訓練受講給付金は、失業保険を受けられない人が、ハローワークの職業訓練を受講しながら月額10万円を受け取れる制度です。
雇用保険の加入期間が足りない人や、失業保険の給付日数を使い切った人も対象になります。本人や世帯の収入・資産などに条件があるため、窓口で確認してください。
生活費を補いながら、再就職に必要な知識や技術を学べます。訓練を通じた就職支援も受けられるため、失業保険の対象外だった人も、職探しの準備を進められます。
失業保険の受給条件を満たさない場合は、ハローワークでこの制度について相談してみましょう。
失業保険はいつからもらえるかでよくある質問
アルバイトや初回の振込額、再就職後の手続きなど、受給に関する疑問に答えます。
待期期間や給付制限の間にアルバイトをしてもいいですか
7日間の待期期間中は、アルバイトを避けてください。働いた日は失業状態の日に数えられず、待期期間の終了と、その後の日程が遅れます。
給付制限中や受給中もアルバイトはできます。ただし、週20時間以上働くか、31日以上雇われる見込みになると就職として扱われ、受給資格を失います。また、4時間以上働いた日の分は支給されません。
収入の金額にかかわらず、働いたことは認定日に必ず申告してください。
初回の振込では満額もらえますか
初回は満額になりません。振り込まれるのは、待期期間や給付制限が明けた日から、初回認定日の前日までの日割り分です。
会社都合退職でも、初回は28日分に満たない約3週間分が目安です。自己都合退職では、さらに少なくなることがあります。28日分を受け取るのは2回目以降なので、初回から満額が入る前提で支払い予定を立てないようにしてください。
受給中に再就職が決まったら失業保険はどうなりますか
ハローワークに就職を申告すれば、入社日の前日までの失業保険を受け取れます。
給付日数を3分の1以上残して安定した仕事に就くなどの条件を満たすと、残り日数の60〜70%相当の再就職手当も受け取れます。早く再就職すると損をする制度ではありません。希望に合う求人があれば、残りの受給日数を気にせず応募しましょう。
失業中の健康保険と年金はどう払えばいいですか
退職後の健康保険は、前職の健康保険を続ける「任意継続」、国民健康保険への加入、家族の扶養に入る方法から選びます。会社都合退職の場合は、国民健康保険料が軽減されることもあるため、加入手続きの際に退職理由を伝えてください。
国民年金や住民税については、自治体の窓口で免除や納付の猶予を相談できます。失業保険の受給額は、扶養の収入判定に含まれます。家族の扶養に入る予定の人は、先に健康保険組合の基準を確認してください。
失業保険の不正受給がばれるとどうなりますか
不正受給が発覚すると、支給停止と全額返還に加え、年率5%の延滞金が課されます。悪質と判断された場合は、受給額の2倍の納付命令や刑事告訴に至ることもあります。
アルバイトを申告しないことも、不正受給に当たります。受け取った金額を返すだけでは済まないため、収入の金額にかかわらず、働いたことを申告してください。
初回の入金時期を確認し、離職票が届いたら早めに申請しよう
退職理由をもとに初回の入金時期を確認し、申請に必要な準備を進めましょう。申請が遅れると、その分だけ振込も遅れます。
- 初回振込は、会社都合が申請から約1カ月後、自己都合は約1カ月半〜2カ月後
- スケジュールの起点は退職日ではなく、ハローワークで申請した日
- 自己都合の給付制限は2025年4月の改正で原則1カ月に短縮。対象の教育訓練を受けると解除される
- 認定日の欠席と求職活動実績の不足は、その期間の入金が丸ごと止まる
- 生活費が足りないときは住居確保給付金・傷病手当金・職業訓練受講給付金も使える
早見表と計算式で、入金時期と受給額の目安を確認してください。入金までに必要な生活費を見積もったうえで、手続きを進めましょう。
退職前から、証明写真や通帳を用意し、管轄のハローワークの場所を調べておけます。離職票が届いたら、その週のうちに窓口で求職を申し込みましょう。
入金までの約1〜2カ月も、受給条件の確認や訓練講座の検討など、再就職に向けた準備に使えます。
受給額は条件によって変わります。受給額の無料診断で目安を確認する方法もあります。


