労務管理に役立つ知識#51 『ハラスメントの基準』3つの判断基準をご存じですか?(渋谷・社労士・顧問・労務相談・ハラスメント・パワハラ・セクハラ)
2022/08/27
前回はハラ・ハラ社員の接し方についてお話しました。
結論として、「どんなに理不尽な内容であっても、その場では必ず受け入れて、厳正なる当事者等への聞き取り調査の結果、ハラスメントの疑いがあれば当事者への注意指導を行ったうえで会社の結果(問題ないようなら、問題ない)を報告する。そして、新しい事実が出てこない限り、反論は一切受け付けず、可能性の話をこれ以上続けても結論は変わらないため、就労へ戻るよう毅然とした態度で言い放つ」でしたね
さて、ハラスメントかあるかどうかは最終的には会社が判断するものですが、主観的に判断したり、事実を隠蔽することはあってはなりません。
それではハラスメントの判断基準です。部下を抱える上司の皆さまは、特に以下の内容は覚えておきましょう。
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③その雇用する労働者の就業環境が害されたか。
※その就業環境が害されたかどうかは「平均的な労働者の感じ方」とします。
この「平均的な感じ方」とは、同様の状況下で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業するうえで看過できないほどの支障が生じるほどの言動があったかどうかという観点です。つまり、本人(受け手のみ)がハラスメントだと思ったことをもって、直ちにそれがハラスメントになるわけではないということです
※この①~③の判断は、パワハラの判断基準でよく使用されますが、ハラスメント全般で適用できると私は考えます。
たとえば、仕事でミスした部下に対し、咄嗟に上司が「何やってんだバカ!」と声を荒げて叱責したとします。
この事実をもってパワハラと言えるでしょうか。
・上司はすぐに謝ったのか
・声を荒げたのは今回だけか
・そもそもどのようなミスをしたのか
・部下に全く落ち度はなかったのか
・このようなミスは過去にもあったのか
・その際部下はきちんと反省していたのか等
多角的に検討したうえで結論づける必要があるでしょう。
もちろん基本的に「パワハラ」に類する言動は間違いないのですが、
本人の注意指導を受けているときの態度が不貞腐れていてまったく反省していないような場合や、結果の重大性等によっては、直ちにパワハラとまで断定できるかは微妙なところです。
一般的に上司が高圧的な態度をとってしまった場合、事を穏便に済ますには、上司はとにかく謝罪をしておいた方がよいです。
覚えておいてくださいね