労務管理に役立つ知識#65 『高年齢者雇用の実情』本当に65歳まで希望者全員を雇用継続しなければならないのか(再雇用拒否について)
2022/10/16
令和3年4月1日施行、改正高年齢者雇用安定法より、65歳までの雇用の確保に加え、70歳まで就業機会の確保に努める必要があります。
現状65歳までの雇用確保は義務化されていることもあり、99%の企業が何かしらの措置を導入しています。中でも継続雇用制度の導入をしている企業が7割と大多数を占めています。
※直近(令和3年度)の高年齢雇用者雇用状況報告によれば、60歳定年制でその後は65歳まで1年契約とする企業が多いようです。
70歳までの就業は努力義務です。導入率は25%程度であり、こちらもほとんどの企業で継続雇用制度の導入しています。
さて、再雇用に関するトラブル、ご相談で最も多いのが「継続雇用する際に再雇用の拒否はできないのか」という点。
結論から申し上げますと、拒否に値するだけの客観的合理的な理由を会社が用意しない限り、企業は希望者を拒否はできません。労働条件を引き下げる、職務内容を変更する、配置転換(社外転籍、出向を含む)をする、何でもよいです。法律の趣旨としては、65歳まで雇用継続が確保できるのであれば、その内容(労働条件)については言及しておりません。
就業規則に「継続雇用しない理由」を明記しておけば、それに該当する者を正当に拒否できるとする、という記事を見かけるのですが、これは大きな誤りです。
※高年齢者雇用安定法Q&A(厚労省HPより)にも記載があります。
この「継続雇用しない理由」が適用できるのは、あくまでも努力義務である65歳超の雇用確保措置に限ります。
65歳までの雇用確保措置で継続雇用しない理由があるとすれば、拒否するにたる客観的合理性が説明できる場合。例えば、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める”解雇事由”又は”退職事由”(年齢に係るものを除く。)に該当する場合に限定される、ということを覚えておかれると良いでしょう。