労務管理に役立つ知識#58 『組織改革』退職者ヒアリングを実施しよう(渋谷・社労士・顧問・労務相談・組織改編・労務アドバイザリー)
2022/09/18
まず冒頭お尋ねします
従業員の声をきちんと聞いていますか?
従業員のアイデアを形にしたことはありますか?
NOと答えた企業は少々危機感を覚えた方がよろしいかと、個人的には考えます。
会社は経営陣が作り、作り上げたルールを執行責任者が末端まで統制する、言わば軍隊的マネジメントはこの時代に即しません。
外部から経営コンサルタントを招き入れ改善出来ればまだよいですが、実際に働く従業員の気持ちを無視するような方針では、売上があがったとしても、それを生み出す従業員の気持ちはこれに反し離れていくため、決して長続きはしないでしょう。費用対効果を鑑みれば、マイナスの可能性もあり得ます。
たまに事業主側からこのような意見をもらうことがあります。
「うちは目安箱を設けて、従業員から様々なアイデアをキャッチできるし、定期的に募集もかけている。ただ、自分本位な不満事が多く、新規事業や制度改変の契機となるような意見をもらったことがない。評価時の面談でも少々遠慮しているようで、決して本音を語ってくれず、最後は辞めていく。」
確かに従業員の立場になってみれば、いくら決定権者が笑顔を浮かべながら、「何でも相談してね」「社員のアイデアで会社をもっとよくしていこう!」等と発信したところでも、実際問題それは恐怖でしかなく、”余計なことを言って不利益を被ったらどうしよう””面倒なことに巻き込まれるのはご免だ”と本音は旨の内に秘め、業務を継続するものではないでしょうか。
(私も経験済です。)
経営者としては、今の何が足りないのか、従業員は何に不満を持っているのかを把握し、今後の経営に役立てたいと考えています。
では、従業員が本音を語れる機会はどこでしょう。
それは『退職時』です。
厳密に言えば”退職日当日”もしくは”退職日翌日”です。
縁が切れてしまえばもう怖いものなしですよね。
実際私が前職を退職した際にも意見を書かせて頂きました。
また、”退職時ヒアリング制度(仮称)”を導入したある会社では、組織のリーダー格が、年功序列ではなく”能力”で選ばれるよう一新し、組織内コミュニケーションが円滑に回るようになりました。
※降格となったリーダー陣へは、経営者が自らが交代の理由を説明し、これに異論を唱えた者に対しては、毅然とした対応を取るよう指示しました。
退職時のヒアリングを進めていくと、思わぬところでハラスメントが起きていたり、採用時に約束された業務と実業務に乖離があったり、いつもは大人しく滅多に人前で発言しない者が、実は物凄いアイデアを秘めていたことに気づかされたりするものです。
是非従業員の心の声に耳を傾け、今後の経営にお役立ていただければと思います。