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労務管理に役立つ知識#34『内定取り消しを法的側面から分析する』(渋谷・社労士・顧問・労務相談・採用内定・解雇)

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労務管理に役立つ知識#34『内定取り消しを法的側面から分析する』(渋谷・社労士・顧問・労務相談・採用内定・解雇)

労務管理に役立つ知識#34『内定取り消しを法的側面から分析する』(渋谷・社労士・顧問・労務相談・採用内定・解雇)

2022/07/18

前回に続き、今回も内定取り消しについて語ります。

 

内定を取り消すという行為の適法性を判断するためには、”採用内定の意義”と”法的性質”を理解しておく必要があります。

採用内定の意義とは、労働契約の成立の過程において、求人を出し、応募者に対し使用者による面談及び試験を実施し、合格者へ採用予定もしくは採用決定の通知までの一連のプロセスのことをいいます。

実務的にはこの”内定”には「採用予定としての採用内定」と「採用決定としての採用内定」が存在します。前者の場合は、労働契約まで成立しておらず、使用者による採用予定の取り消しが想定されています。一方で後者の場合は、すでに労働契約の成立に至っており、その取り消しには解雇の要件を満たす必要がある、俗にいう解雇権を留保した労働契約が成立している状態をいいます。

紛争が発生した際に、このどちらに該当するかを判断するに不明瞭な場合もあります。そこで、裁判例の理解が必須となります。

 

この場では裁判例を取り上げたりはしませんが、いくつかの裁判例から共通事項が見えていますので、結論のみお伝えします。

 

『採用予定にとどまるか、採用決定と解されるかの判断』

└採用通知の他に、労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されているか否か

→採用内定後に、正式採用の連絡等の「特段の意思表示」を予定していないような場合は、当該採用内定は、採用の決定と解されます。

 

★特段の意思表示とは、「入社承諾書」の提出等です。入社への意思が明らかな何かのことです。(特段書面である必要はありません*)

 

なお、内々定の場合「労働契約」は発生していません。なせなら優秀な人材を企業側が囲い込み、他社に人材を流出することを防止するための一戦略に過ぎないからです。しかしながら、あまりに多用すると、会社として信義則に違反するものとして賠償命令が下された判決は存在します。

 

※個人的な見解ですが、内定後、入社承諾書を提出させる運用でないにせよ、内定承諾の有無をメール等のエビデンスが残る形で保管されると思います。労働契約は、口頭ですら合意成立が可能ですので、労働契約が成立したと解されると思慮します。つまり、企業側はバックグラウンド調査をするのであれば、内定を出す前もしくは承諾を受ける前に実施するべきだと感じます。

 

採用内定は紛争になりやすい場面でもありますので、一度貴社のプロセスを見直してみるとよいでしょう。

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