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労務管理に役立つ知識#33 『健康上の理由による内定取り消し』(渋谷・社労士・顧問・労務相談・鬱・安全配慮)

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労務管理に役立つ知識#33 『健康上の理由による内定取り消し』(渋谷・社労士・顧問・労務相談・鬱・安全配慮)

労務管理に役立つ知識#33 『健康上の理由による内定取り消し』(渋谷・社労士・顧問・労務相談・鬱・安全配慮)

2022/07/16

企業は会社の理念にフィットした人材を雇用するため、採用面接という短く限られた時間のなかで、その適正を見抜く必要があります。業務適正の判断の進め方は、下記のようなプロセスを踏みます。

・履歴書、職務経歴書等からの推察

・会話内容の議事をとる

・SNSチェック

・入社時の誓約書にサインをもらい、保管

採用面接時に経歴や素行に重大な虚偽問題が発覚した場合、採用内定の取り消し(入社後は懲戒解雇)出来る可能性は高いと思料しますが、問題は健康状態の確認です。

 

貴社では入社時の健康状態をどのようにチェックしていますか?

まずは健康診断結果ですよね。

しかしながら健康診断結果は内定を出した後が一般的です。

そのため、面接時の段階で健康状態を判断することは非常に難しいです。

そして業務以外の質問に関しては厳禁です。

通院歴や精神疾患の有無については内定前に把握しておきたいところです。

 

なぜなら把握しておかないと、後々雇用上のトラブルに発展する可能性があるからです。

下記実際にあった話です。

・入社後、実は定期的に通院しており、通院治療のため、毎月1日お休みを取得する旨報告があった

・労働契約上(内定通知書)、正社員と同様の働き方で締結しており、本契約でもその認識であった。

・本人は賃金控除(欠勤扱い)すれば問題ない、毎月体調不良で欠勤するのと何が違うのかと主張してきた。

・本人としての制裁は控除という形で済むが、職場環境維持義務違反(社内調和のかく乱)に該当するため、会社は前もって自己申告すべきだと主張した。

本ケースは、本人のモラルの低さが招いたトラブルであり、注意指導という形でクローズド。本人の通院歴については機微情報のため口外禁止でありますが、本件についてはすでに周囲は把握済(本人自ら報告していた)ため、改めて周囲への理解を得て事なきを得ました。

 

故に、個人的な見解になりますが、健康上の最終確認は、文字通り、内定を出す直前でお聞きしてみてはいかがでしょうか。問題は差し支えない”聞き方”ですよね。

例えば、1次面接、2次面接、最終面接があるならば、最終面接(出来れば1on1)で代表が聞いてみるのはどうでしょうか。

その際は、一定のルールを設けましょう。

・通院や既往歴の確認は内定に一切関係ない事を伝える

・あくまで内定通知書を作成(労働条件を確定)するための通過儀礼であることを伝える

※上記トラブルを引き合いに出し、本人の口から事実を報告してもらいましょう。

仮に精神疾患であることが発覚した場合でも、採用内定はお出ししましょう。なぜなら、ここまで受け答えに問題がない、人事担当者が気が付かない程度だったならば、これ即ちほぼ問題ないと言えるでしょう。ここからはどのような労働条件で雇用すべきかの検討です。当然のことながら、病気を理由に不当に賃金を低く設定する、専門職から事務職へ変更する等はあってはなりません。すべきことは本人への配慮です。

 

会社は安全配慮義務を当然に負うものであり、健康状態の確認を余儀なくされます。とりわけ入社時は、直近3か月以内の健康診断結果の提出が求められており、会社は各社の基準に照らし合わせて、健康上の措置について判断をします。業種によってその基準はまちまちですが、例えば、ドライバー職の採用で、過去に失神等の発作が生じたことの有無を確認したり、アレルギー物質を取り扱う業務で、アトピー性皮膚炎等のアレルギー症状の有無を確認する等、合理的妥当性があれば、当該確認は業務に関連すると思料します。一方でこれに反する者には、取り消しが認められるでしょう。

 

既往歴に該当しない病歴や現在の通院状況は、本人からの自己申告がない限り当初は把握できないため、差し支えない範囲で『合理的妥当的』に確認をしてみてください。

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