労務管理に役立つ知識#28 『テレワークと通勤手当』(渋谷・社労士・顧問・労務相談・就業規則・労務アドバイザリー)
2022/06/27
7月は算定基礎届を提出日
通勤手当は算定の基礎としなければなりませんが、新NTT方式をとると”旅費交通費”で対処が可能。
旅費交通費と通勤手当の最大の違いは、社会保険料の算定基礎の対象外になる点。
今回のケースでこれを知った方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、何でもかんでも旅費扱いにすることは当然できません。
労務管理をしっかり行うことでこれが可能となるわけです。
そこでまずは自社の現状確認を行いましょう。
1.就業規則
就業規則の通勤手当はどのように支給されていますでしょうか。
そもそもテレワークが開始して自宅が主たる事業場とした段階で、テレワークで出社日が減った場合、通勤手当の支給方法が変わる旨の記述をしなければなりません。日割り支給の記述がないときは、毎月全額を支払う必要があるかもしれないということです。
※こちらは社員側も当然日割りになると考えていますから、特に大事にはならないと思いますが、ちょっと詳しい人(めんどうな人)は絡んできますので、注意が必要です。せめて、規則に載せる時間がなかったら、メールでもいいので全社員アナウンスやポータルサイトに通達文をアップしておくとよいでしょう。
就業規則に記載する条文としては、下記のような内容で結構です。
『テレワークを行ったときの通勤手当は、実際に出社した日数分×1日の交通費を支給します。ただし、支給額は1か月定期代を上限とします。』
2.労働条件通知書/出張旅費規程
さて、ここからが本題です。
通勤手当を旅費交通費として処理する場合、雇用契約書に勤務地が自宅と指定されていること、経出張旅費規程が整備されていることが必要です。
本来、通勤手当は給与ですので、経費精算とすることはできません。しかし勤務地が「自宅」の場合は、会社に来ることは「通勤」ではなく「出張」として扱われます。テレワークであっても、外回り営業などと同様に「旅費交通費」としての経費精算が可能になります。
雇用契約書は本社と記載があるかと思います。さすがに勤務場所を自宅と明記するのあれなんで、こちらを「本社および会社が指定した場所」に変更するがよいでしょう。
本社から比較的近い方、例えば東京<->東京の方ならば、通勤手当の日割り計算でもほぼ影響はないでしょう。しかしながら地方の方で、通勤手当が毎月2万円を超えてくると、低賃金者は等級が変更しますので社会保険料額に影響します。
あとは会社がどこまでやるか、さすがにコロナから2年以上経過し、通勤手当を毎月フルで支給している会社はいないと思いますが、テレワークをスタンダードにする会社はもう一歩踏み込んでもいいかもしれませんね。