労務管理に役立つ知識#27 『1か月単位の変形労働制とシフト制の違い』(渋谷・社労士・顧問・労務相談・コンサルティング・労務アドバイザリー)
2022/06/26
1か月単位の変形労働制とシフト制は似て非なる働き方。
本日は双方の違いについて簡単にご説明したいと思います
まず根本的に法律上の決めの問題として、
1か月単位の変形労働制を採用するには、労働基準法上に定めがありますので、その通りに採用しなければなりませんが、シフト勤務にはその定めがないという違いがあります。
1か月単位の変形労働制は、労基法32条に定めがあります。
『1ヶ月以内の期間(変形期間という)を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えなければ、労働時間が特定の日に8時間、特定の週に40時間を超えても残業とはみなされない制度』。
条文ですと何を言っているのかちょっとわからないかもしれませんが、
たとえば、24時間365日交代制の警備会社などを想像してみましょう。
一般的に昼と夜の2交代制をとっており、昼勤務は実働8時間、夜勤務は実働15時間(仮眠3時間等)のシフトで回しているとしましょう。
法律上1日8時間を超えた時間は残業代が発生しますよね。
上記の場合、夜勤務発生時は毎回7時間分の割増賃金を支払うことになります。
これって経営者からしてみれば、かなりのキャッシュインパクトですよね
そこで、1か月以内の期間(変形期間)でみたときに、業務に繁閑がある場合(1日の労働時間や週の労働時間に差がある場合)、1日8時間、週40時間を超えても残業代を支払う必要はありません。ただし、そもそものシフト表において、変形期間での1週間の所定労働時間を40時間以内とする必要がありますよ、ということを意味しています。
つまり、1か月単位の変形労働制は、『1日の就業時間に長短があることや1か月以内の期間内で繫閑期がある場合(月の前半が繁忙で月末になるにつれ閑散する等)、通常の働き方をすると残業代を多く払う必要があるときに使用します。
採用する際は、変形期間開始前に、始業終業時間を予め組んでおく必要があるため、シフト表の作成が必要です。この”始業終業時間を予め組んでおく”ことで、変形期間を平均して週40時間以内におさまっていることを確認します。
※変形労働制はたくさん残業させても残業代を支払わなくていいと誤認される会社が多く、監査の際は、ここで法律上通りに適切にシフトを組んでいるか厳しく見られます。
一方、シフト勤務は文字通り、シフト表に準じて労働時間が決まります。一般的には営業日(時間)内の任意の日(時間)を労働者が希望し、経営者が決定することで完結します。アルバイトやフリーターで多い働き方ですね。シフト期間中でも代替要員と都合がつけば原則シフト交代が可能ですので、自分の予定に合わせて働くことが可能です。(1か月単位の変形労働制の場合は、変形期間中のシフト交代は原則できません。)ただし、アルバイト等であっても、1日8時間、週40時間を超えた場合は、残業代を支払う必要がありますので、注意が必要です。
ポイントは『1か月間の日ごとの労働時間』です
長短が明白の場合は変形労働制、土日祝が勤務日で通常の労働時間で問題ないならシフト制とすることを第一に、適切な労務管理を心掛けてみてください。