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労務管理に役立つ知識#75『202304デジタル通貨払い解禁』従業員のメリットと会社のデメリットから考える(DX・給与・就業規則)

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労務管理に役立つ知識#75『202304デジタル通貨払い解禁』従業員のメリットと会社のデメリットから考える(DX・給与・就業規則)

労務管理に役立つ知識#75『202304デジタル通貨払い解禁』従業員のメリットと会社のデメリットから考える(DX・給与・就業規則)

2023/01/10

20230401より、賃金デジタル通貨払いが解禁されます。
→デジタル通貨払いとは、給与口座とは別に、本人が指定する資金移動業者*¹口座(キャッシュレス決済元となる口座(○○Payの口座))へ、給与の全部又は一部を、振り込むこと。

なお、キャッシュレス決済元口座が給与口座と同一の場合には、本件関係なし、通常の振込用口座と決済口座を分けておきたい方や、毎月資金移動している方には効果的。

 

*¹資金移動業者とは、銀行等以外の者が為替取引すなわち資金を移動することを業として営むべく、資金決済に関する法律に基づいて登録を申請し、内閣総理大臣の資金移動業者登録簿への登録を受けた者

(出典元:wikipedia)
 →株式会社PayPay,株式会社LinePay等

※最初に申し上げておきますが、企業が導入に際し、本件”義務”ではありません。

今回の改正は「賃金の支払い方法に新たな選択肢を追加し、労働者及び使用者の双方が希望する場合に限り可能とする」とされており、仮に労働者が希望したときでも使用者は個別に応じる必要はありません。
 

本改正に至った主な理由は下記のとおりです。
【デジタル通貨払い解禁の背景】
・新たな生活様式に対応した規制改革の推進を図るため
・外国人労働者の受入れにかかる総合的対応策の一環
・キャッシュレス化の推進、国民の利便性の向上
・消費者向けアンケート(202105)で約4割がデジタル通貨払いの希望あり

 

次に、賃金をデジタル通貨払いにするにあたり、どのようなことに留意するべきかを確認します。
【デジタル通貨払いの留意点】
1.労働者の同意
2.資金移動業者口座の資金保全
└預金とは異なり、送金・決済を目的としているため、預金口座同様に労働者保護を図る必要あり
└1回の設定上限は100万円以下で、受入上限100万円
3.資金移動業者が破綻した場合の保証
4.資金移動業者口座の資金が不正利用された場合の補償
5.資金移動業者口座の資金を一定期間利用しない場合の債権
6.資金移動業者口座の資金の換金性

 

次に、労働者及び使用者がデジタル通貨払いを選択した場合、どのようなメリット・デメリットが考えられるか確認します。

【従業員側】
メリット
・資金移動業者口座へ毎月一定額直接振込されるため、資金移動する手間がかからない
・給与口座の用途別管理が可能
・外国人労働者の場合、母国に送金しやすい
デメリット
・資金移動業者が破綻した場合の保障会社が信頼できるか不明
・被害に遭遇した際の補償範囲が不明

 

【使用者側】
メリット
・デジタル通貨払いを望んでいる労働者の人材確保や定着につながる
・全額払いの場合、振込手数料が安価となる可能性がある
デメリット
・銀行振込とデジタル通貨払いを選択した場合、手数料や事務工数が増加
・全銀データ等の統一フォーマットがないので、振込時の事務負担が増加

 

上記を踏まえ、デジタル通貨払いを行う場合、諸処の準備が必要です。
【規程等の整備】
・労使協定の締結
・同意書の作成
・就業規則の変更
└デジタル通貨払いを選択しない場合でも、”デジタル通貨払いを認めない”とする旨を明記しておいた方がよろしいかと思います。

 

【今後の動向】
4月解禁と謳っている割には、まだまだ不透明な部分*²も多く、1/8現在厚労省HP上、リーフレット等、コンテンツ作成中でした。
*²資金移動業者口座の作り方(通常の作り方と違うのか、既存口座ではダメなのか)や会社は資金移動業者や口座をどこまで把握する必要があるのか、希望しないものも含めて全員へ同意(確認)をしなければならないのか、希望者のみ同意書提出でよいのか等 

 

先進国の中で最もデジタル化が遅れており、日本だけがキャッシュレス時代の波に乗り遅れている指摘を受けるなかで、将来的にはキャッシュレス決済比率を世界最高水準の80%まで引き上げたい狙いがあるようです。(現在は29.8%)

 

導入の際は、バックオフィス側の従業員とよく話し合ったうえで、前向きにご検討頂ければ幸いです。

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