労務管理に役立つ知識#60 『業務時間or通勤時間?』出張時の目的地までの移動時間について(渋谷・社労士・顧問・出張・労務アドバイザリー・コンサルティング)
2022/09/20
普段は10時出社のため朝は8時にゆっくり起床。テレワークはもっとゆったり9時30分に起床。そんな中、突如弾丸出張が決定!朝5時起床で7時の新幹線に乗車しなければならない場合、新幹線の移動時間は果たして業務時間として通算して良いと言えるでしょうか。
諸説ありますが、答えは”移動時間として通算できません”
自宅から直接現地に赴く場合の移動時間が労働時間か否かについては、通勤の途中に特別の用務を帯びた(指示を受けた)ものでない限り、実際の労務の提供は、目的地に到着してからなされるという点から考えますと、目的地までの時間は、通勤時間と「同一性質」であるとする「通勤時間説」が妥当な考えです。つまり、乗車中に自発的に業務(例えばプレゼン資料の作成見直し)を行う場合も移動時間扱いになります。
目的地がちょっと遠くに設定されただけに過ぎず、通常の通勤時間と解される、ということですね。
これを有力とする理由は、過去の判例(日本工業検査事件)にあります。
「出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるから、右所要時間は労働時間に算入されず、したがってまた時間外労働の問題は起こり得ないと解するのが相当である」
出張時の移動時間は特段の指示がない限り、その間は通勤時間であると覚えておいてください。