労務管理に役立つ知識#48 『上司に反抗するモンスター社員を解雇!?』ハラハラ社員への対応(渋谷・社労士・顧問・労務相談・ハラスメント・労務アドバイザリー・解雇)
2022/08/18
自分の思い通りに業務ができないと反抗し、ちょっとの指導でパワハラだと誇張して騒ぎ立てる迷惑社員、どこの会社でもいらっしゃると思います。このようなモンスター社員が行う会社や上司への嫌がらせ(過剰な主張・反応し正常な業務を妨げる行為のこと)を「ハラスメント・ハラスメント」(通称ハラハラ)というそうです。
また新しいハラスメントが誕生しましたね
さて執拗にハラハラを仕掛けてくるモンスター社員、
「どうにかしたい、できることなら解雇したい!」というご質問を頂くことがあります。
本日はこれに回答したいと思います。
結論から申し上げますと「解雇は難しい」と言わざるを得ません。
懲戒解雇は就業規則に定めた事由に合致し、所定のプロセスを通さなければ、会社側が権利を濫用したものとして無効になります。それだけ懲戒解雇は正真正銘の最終手段であり、社会通念上、客観的かつ合理的事由がそこになければ認められません。
たとえば、現行犯で逮捕されたもしくは刑法に接触する可能性のある行為(詐欺・横領・暴行・教唆)が明らかになった場合や業務上極めて重要な命令に違反した、14日以上連絡が取れず行方不明等、法律や過去の判例で認められた事由(相当にあるものを含む)に限ることを覚えておきましょう。
※ただし、仮に民事裁判で懲戒解雇は不当だという判決が下されたとしても、普通解雇が適用されるケースはあります。
さて、解雇が難しいという前提で現実的な対処法は何か。
ハラスメントだと主張する以上、まずはハラスメントの事実があったのかを調査することが何よりも大事です。明らかに社員側の態度に問題があったとしても、何も調査もせずに結論を出すようでは信ぴょう性や納得性(伝導性)に欠けます。事実確認は工数がかかり、かつ、全く生産性を生まないタスクで、人事としては嫌悪感を示すでしょうが、それも仕事の内。丁寧な調査で本人にフィードバックし、毅然とした態度で就業規則に従い、粛々と処分を履行しましょう。
初回の場合は譴責・訓戒から行い、複数回繰り返し当該非違行為を繰り返す場合は、約付者は降格、一般職は減給、出勤停止・・・と徐々に処分を強めながら建設的な指導をしてみてください。
裁判でもこの指導にどの程度汗と涙をかけたのか(時間と労力)を重要視しています。「解雇以外の選択肢がなかったのか」という視点で質問してきます。よって、人事権(出向や配置転換、降給等)や退職勧奨、解決金による合意退職を含め、多角的に検討してみるとよいでしょう。