【就業規則・人事向け】振休と代休の違い(#残業代・#働き方改革)
2021/12/04
おはようございます!
就業規則を査読させていただいてよく思うことあるあるをおひとつ♪
振休と代休がごっちゃ混ぜになっていること!
前職でもそうでした。
この問いをクライアントに投げかけると高確率で返ってくる答えとして、「休日働いてもらう代わりにどこか休みを取らせれば、残業代払わなくていいんでしょ?」
でました、経営者本位の拡大解釈!
そんな都合の良い話があるわけないです。
振休と代休は似て否なるものなので、まずは各々の特性を理解しましょう。
『振休』とは、”休日出勤する日と通常の労働日を”あらかじめ”入れ替えること。入れ替えることにより本来の休日が通常の労働日となり、本来の通常の労働日が休日”になります。
(あ、振休とは振替休日の略です!)
この「あらかじめ」とは、いつまでに入れ替えなければならないという法律上の決めがないので、客観的かつ一般的なタイミングを規則に明記すればよいでしょう。たとえば「振休は、休日出勤が発生する前日の営業時間内に定めるもの」。
一方『代休』とは、休日出勤した日を出勤日とし、翌日以降の通常の労働日を休日にすること。
※こちらを振休と呼んでいる方が非常に多いです
要するに、振替休日が特定されてから休日出勤させたかどうかが判断基準です。
職場では振休を事前振替、代休を事後振替と呼んでいるところもあるようです。
ここまではよろしいでしょうか。
ここからは法律のお話です。
労務は労働基準法に規定がある条文を正確に読み解いて、実態に即して違法性を判断します。
振休・代休にかかる労働基準法条文(₌根拠→ここでは咀嚼して短文明記します)は下記の通りです。
①法定労働時間は1日8時間、週40時間(特例対象事業は除く)
②法定休日は週に1日(変形休日制は除く)
③法定時間外労働(₌所定休日労働)割増率(25%超)、法定休日労働割増率(35%超)
(他にもありましたら失礼しました)
※それ以外の決定は就業規則に準ずる
つまり、振休を行った場合でも、同一週に行う場合と翌週とに行う場合では、割増賃金の計算方法が大きく異なるわけです。①の週40時間に着目、他の日に残業をしていないならば、単純に同一週内で出勤日を入れ替えただけですので、週40時間は担保されます。つまりは割増賃金を支払う必要はありません。しかしこれを翌週に振り替えた場合、休日出勤した週の労働時間が48時間となり、8時間残業したことになりますよね。その結果8時間分の割増賃金(法定時間外労働割増率(25%超))を支払わなければならないので注意が必要です。
※休日出勤した日が所定休日の場合です
代休の場合は、休日出勤をさせてしまったわけですから、その分の労働時間に対する割増賃金を支払わなければなりません。代休を与えた場合でも、事業主は割増賃金分の支払いは免れません。たとえば時給1000円の者が休日出勤(10時間)したとしても、調整できるのは基本給の1万円であり、3500円は支払わなければならないことにご注意ください。
※基本給1万円、休日出勤手当3500円(割増率35%の場合)
今回は振休と代休の違いをさらっとおさらいしてみました。
書きながら思いましたが、変形労働制を採用すれば休日出勤させても問題ないというお考えをお持ちの方も散見しています。
次回は変形労働制についてさくっと所感を書かせていただきます。