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人事担当必見!【改正育児介護休業法】『パパの育児休業が取得しやすくなりました』

人事担当必見!【改正育児介護休業法】『パパの育児休業が取得しやすくなりました』

2021年6月、育児介護休業法で大きな改正が入りました。

今回の改正は、男性従業員の育児休業ルールを見直したもので「会社は率先して男性従業員の育児休業取得に向けて必要な措置をとりましょうね!」というもの。

そう、企業側は必要な措置を取らなければなりません。

いったいこれから企業はどうように対応していけばよいのでしょう。

本記事では、バックオフィス、人事労務担当者が行うべき事柄を、できるだけ行動ベースでかつ具体的に解説したいと思います。

1.男性従業員は、子が1歳になるまで分割して最大4回まで育児休業がとれるようになりました!

改正育児介護休業法の概要
まずは全体のイメージを掴むところからはじめましょう!
上記のイメージ図を通じてなんとなくおわかりでしょうか?

そうです。男性従業員が育児に参加しやすいよう、柔軟に育児休業を取得できるように改正されました。
そのためには様々な企業努力が必要になりますので、このあたりを含めまして、ひとつずつ丁寧に解説します。

★育児休業の分割取得について

今回の改正は「出産後、妻の不安な時期に寄り添っていたい」「育児に最初から参加したい」という男性側からの意見を受けまして、出産後8週間のうち、4週間を限度に2回まで育児休業(=出生時育児休業といいます。)を分割して取得できるようになりました。さらに、産後休業後、子が1歳になるまでの間に、最大2回まで育児休業を分割して取得できるようになりました。

要するに、男性従業員は子の出生後1歳になるまでに、合計4回の育児休業(出生時育児休業を含みます)を分割して、各々諸事情にあわせて取得できるようになりました。これで男性従業員は、テレワークの加速も相まって、かなり子育てに参加しやすくなりましたね。

なお、育児休業の分割取得は「男性従業員」に限ります。これは今回の法改正の趣旨が「男性従業員の育児休業取得の促進」にあるためです。

◆言葉の定義
出生時育児休業:産後8週間以内に男性従業員が育児のため休業すること
※ 本記事は、主語を男性従業員、配偶者をその妻としています

注意事項と補足事項

1.現行の育児休業法はそのまま残ります!
男性従業員は、子の出生後育児休業を分割して取得することができますが、現行とおり4週間を超えて育児休業を取得することが可能です。
要するに、今回改正となった「分割取得」と「現行」をご自身の諸事情に応じて柔軟に選択いただけます。

なお「現行」とは、男性従業員は子の出生後最長1年間育児休業を取得できることを意味します。

2.休業の申出は予定日の2週間前までに!
現行の申出は「予定日の1か月前までにすること」との決まりがありますが、今回の休業は「2週間前までに」と定められています。申出しやすくなりましたね。ただし、労使協定で「1か月前までに」とすることも可能です。

3.休業期間中も就労が可能になります!
ただし、就労は事前に予定していたものでなければならず、労働者の意向に反したものにならないように、労使協定を締結する必要があります。

4.休業の分割取得が可能になったため、現行の「パパ休暇」は廃止になりました!
パパ休暇とは、配偶者の出産後8週間以内に男性従業員が育児休業を取得した場合、特別な事情がなくても子が1歳になるまでなら再取得ができる制度です。

まとめ

2.休業中は出生時育児休業給付金が支給されます。社会保険料全額免除です!

★出生時育児休業給付金について

今回の改正で、出生時育児休業を対象とした新たな給付制度、出生時育児休業給付金が創設されました。給付金額、支給率は現行の育児休業給付金と同様で、休業6か月間(180日)*までは次の計算式で算出された金額になります。
→[休業開始時賃金日額×支給日数(通常は30日)]×67%

※この6か月間(180日)については出生時育児休業、分割取得した育児休業を含みます。

もちろん上記期間の社会保険料は全額免除になりますので、会社にとっても安心ですね。

★休業中の就労について

出生時育児休業中は、休業開始前に予定した就労が可能ですが、給付金の制度上「最大10日間(10日間を超える場合は80時間以下)であれば就労可能」と定義されています。よって、給付金と賃金との合計金額が、休業開始時賃金の80%を超えるときは、超えた分について給付金額が減額されます。
要するに、現行の考え方を使います。
このあたりは理解が難しいですよね。個人的な柔軟にすればするほど労務管理は複雑で、逆に周囲へハレーションを与える可能性もありますので、休業中周囲がきちんとサポートすることで対象者に就労させない体制を整備することをお勧めします。

まとめ

3.男性従業員は配偶者と交代で子が1歳以降2歳になるまで育児休業を取得できるようになりました!

★男性従業員が配偶者と育児休業を交代するタイミングについて

現行では、保育園に入園できない等で育児休業期間を1歳を超えて延長する場合、男性従業員が配偶者と育児休業を交代するタイミングについて、子が1歳もしくは1歳6か月に達した日の2回しかありませんでしたが、今回の改正でいつでも交代できるようになりました。ただし「1歳から1歳半」「1歳半から2歳」をそれぞれの期間とした場合、1期間につき1回までしか交代できません。

その他

★有期契約労働者の育児休業取得を推進

アルバイト、契約社員などの雇用形態にかかわらず育児休業を取得できるよう、有期契約労働者の「引き続き雇用された期間が1年以上」とする要件は撤廃されました。ただし、労使協定を締結した場合に限り、上記対象者を除外することができます。

★取得状況の公表(1000人超の事業主のみ)

1000人超の事業主は、毎年少なくとも1回、休業取得状況を公表しなければなりません。

まとめ

4.【重要】男性従業員が育児休業を取得しやすいよう職場環境を整備して、個別に周知をはかりましょう!

★職場環境の整備について

事業主は、職場の雰囲気や制度の不知などを理由として育児休業を取得できない労働者が生じないように、下記いずれかの措置を選択し、実施しなければなりません。
・育児休業にかかる研修の実施
・育児休業にかかる相談窓口の設置
・その他省令で定める措置(現時点で未定)

★個別周知について

これまで努力義務とされてきた対象者への個別周知は、出生時育児休業を含む制度の周知と、対象者への取得の意向を確認するために必要な措置を、事業主に義務づけることとなりました。
具体的な制度周知に関しては、下記いずれかの措置を選択し、実施しなければなりません。
・面談による制度説明
・書面等による制度の情報提供
・その他合理的な方法によるもの
対象者の取得の意向を確認する方法については、後日省令等で規定される予定です。

「労働者の取得の意向を確認する」とは、対象労働者へ育児休業を強制するものではなく、制度の趣旨を理解し、ご自身で決定いただくための確認方法を意味します。

1000人超の事業主は要注意

★1000人超の事業主のみ

毎年少なくとも1回、育休取得状況を公表しなければなりません。
公表方法は未定、施行日は令和5年4月1日です。

まとめ

5.アクションプランをたてましょう!

2021年8月現在未決定な部分も多いですが、令和4年4月1日より順次改正法が施行することは決定しております。
ですので、事業主が講ずべき措置については今のうちから検討されておくことをお勧めします。

アクション1.人事労務担当者が法改正の趣旨を理解しましょう!

★目安:2021年内

制度の根幹とは、下記の事項についてまずは概要を理解することからはじめましょう。
もう一度最初から記事をお読みいただき、簡単にまとめてみしょう。
・法改正にいたる背景とは何か→出生率を少しでもあげ人口低下を防止する
・法改正の趣旨(男性の育児休業の分割取得)とは何か→男性に育児への参加を促し、配偶者にかかる負担を軽減するため
・分割取得した際のメリットとデメリットとは何か
メリット→対象者が子育てに参加しやすくなること
デメリット→業務のしわ寄せを受けた周囲の労働者から不満の声があがる可能性が高いこと
・デメリットへの対処方法をどうするか→後述あり(以下同じ)
・職場環境をどのように整備するか
・対象者へ取得の意向をどのように確認するか

アクション2.周囲の労働者への影響について考えてみましょう!

★目安:2022年2月まで

国はこれ以上の出生率の低下を防止するため、度々法改正を施しているわけでありますが、実際に育児休業に入った際の周囲への影響度については、会社の対策にかかっており、国は一切関与しておりません。
ではどのような対策を講じればよいでしょうか。

性善説に立って考えますと「One for all all for one」の精神で「あなたのいない間は私たちがカバーしておきます。だから安心して休業に入ってきてくださいね!」と快く送り出してあげるのがとても綺麗なシナリオですが、現実問題なかなか厳しいものがあるでしょう。「なんであの人のために私がこんな仕事まで…」と内心よく思わない方がおられるのが当然です。公平公正を担保するためには、さまざまな角度からの対策が必要です。

たとえばこのような取り組みを企画します。
・自発的に対象者の業務を巻き取ってくれた従業員にはインセンティブ制度(査定時のプラス評価、もしくは手当として毎月支給)を導入する
・社内に育児休業体験者がいらっしゃるなら、ご自身の育児についてスピーチをしてもらう
“育児とは業務と同じくらいとても大変なことなんだ”という体験談を同じ従業員の口から周囲への感謝とともにお話いただくことで、不満を持たれている従業員の気持ちに変化が現れるかもわかりません。「何を伝えるかではなく、誰が伝えるか」が重要ですね。

アクション3.上記の取り組みを決定しましょう!

★目安:2022年2月まで

アクション2はブレインストーミングでさまざま意見交換をし、出てきた意見をグルーピングしてみてください。
アクション3ではそれらをサマリして「取り組み」として決定します。

アクション4.職場環境の整備方法、個別の周知方法と対象者の取得の意向を確認する方法を決めましょう!

★目安:2022年2月まで

職場環境の整備について、下記いずれかの措置を選択し、内容を検討しましょう。
・育児休業にかかる研修の実施
・育児休業にかかる相談窓口の設置
・その他省令で定める措置

最もポピュラーなのが「研修」です。
・書面を作成して全社員送付、閲覧者は記名コメントをもらいエビデンスとする
・動画を作成して全社員視聴、視聴後は記名コメントをもらいエビデンスとする
※研修の具体的な方法は現時点で定めはありません。

個別周知について、下記いずれかの措置を選択し、内容を検討しましょう。
・面談による制度説明
・書面等による制度の情報提供
・その他合理的な方法によるもの
対象者の取得の意向を確認する方法については、後日省令等で規定される予定です。

最もポピュラーなのが「面談による制度説明」です。
研修で全社員周知等しておりますが、個別対応はしなければなりません。大まかな内容は把握しているはずなので、個別面談により不明点や疑問点などをなくし、安心して育児休業に入っていただくような面談を心がけましょう。また、管理職者が長期休業に入る際は、復職時元の役職に戻れない可能性があることなど、本人にとってデメリットな点があれば包み隠さずお伝えし、復職後の見解の相違がないように努めましょう。
(このあたりも極力従前同様の役職もしくは同等の地位を約すことで、休業取得率に大きな影響が生じると推察します。企業努力と人事労務担当者の対象者への”説明力”が一つのポイントです)

アクション5.就業規則(育児休業規程)に明記しましょう

★目安:2022年3月まで

アクション1から4までで決めたことを就業規則に明記し、全社員周知します。

施行日は2022年4月1日です。
また、研修や周知等、会社が取り組むべき措置を適宜実践、運用上問題があれば適宜修正していきましょう。

6.総括

今回の法改正は、男性従業員の育児休業の取得を促進するために設けられた制度です。ただ、どんなに制度で後押ししても、対象者が安心して育児休業を取得できるよう「会社が育児休業取得に向けた整備に本腰を入れること」と「育児に対する全従業員の理解」、この二つの両輪が揃わない限り、男性従業員の育児休業取得率は決して上がらないでしょう。

たとえば、
この機会に”全社員ワークライフバランス宣言”をしてみてはいかがでしょうか。

仕事と育児(介護)の両立は法律が、それ以外の両立は企業の腕の見せ所です。
この機会に本気で考えてみるのもよいかもしれません。

法改正が発生したから嫌々対応するのではなく、法改正を契機として職場環境改善について、まずは少しでもみなさんで話し合っていただければよろしいかと存じます。

貴社の快適な職場環境の形成に少しでもお役立ていただければ幸いです。

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